NHKの若者向け音楽番組「MUSIC JAPAN(通称MJ)」が2016年3月で終了するという。歴史ある音楽番組が、また一つ幕を閉じることになる。


「MJ」といえば、普段はあまりテレビに出ることができない新人の登竜門だっただけに、がっかりしている音楽ファンも多いことだろう。司会を務める「Perfume」とユースケ・サンタマリアの絶妙なコンビネーションも板についてきただけに、その掛け合いが見られなくなることも少々悲しかったりする。

ただ、NHKの若者向け番組自体が完全になくなってしまうわけではないので、がっかりするのはまだ早い。2016年4月以降は、「火曜コンサート」に吸収合併され、新たに「歌コン(仮)」という名前で生まれ変わるという。果たしてどのような番組になるのか期待と不安が入り混じるが、そんなことを考えながら、今回は「MJ」の歴史を振り返ってみよう。

MUSIC JAPANの歴史


「MJ」の歴史は意外にも長い。タイトルや内容を変化させながら45年にわたって続いてきた長寿番組だ。


もっとも古くは、1970年1月から1974年3月まで放送された音楽番組「ステージ101」にまで遡ることができるという。その後は、「レッツゴーヤング」(1986年4月〜)、「ヤングスタジオ101」(1986年〜1988年)、「ジャストポップアップ」(1988年〜1991年)と、若者向け音楽を発信し続けてきた。あらゆる世代の人たちが、「あぁ〜あの番組懐かしいよね」と思い出すことができるだろう。

そして「MJ」の前身といえば、90年代を代表する音楽番組「POP JAM(ポップジャム)」(「PJ」)である。「PJ」がスタートしたのは、1993年。筆者の幼少期は、自宅で「PJ」が流れていた記憶がある。
同番組は1993年から2007年3月まで約14年間にわたって放映された若者向け音楽番組で、森口博子、爆笑問題、堂本光一、優香、つんく♂、T.M.Revolution、アンジャッシュなど、司会者が豪華だったことも魅力だった。

「ポップジャム」というタイトルには、その名の通り、あらゆる音楽を「ジャム」=混ぜる、という意味合いが込められていたという。

新年のMJはスゴイ


そんな「POP JAM」のスタイルを継承するかたちでスタートした「MJ」も、惜しまれつつ終わりを迎える。期待の若手アーティストを積極的に取り上げてきた同番組は、J-POPのみならず、ロックバンドやメタル、ヴィジュアル系、声優など、あらゆる音楽シーンをカバーしていた稀有な音楽番組だった。アーティストの「MJ」出演が決まると、好きなアーティストをテレビで見られると、SNSで喜びの声を発するファンの姿も見られた。「MJ」は、アーティストの地上波初登場を叶える夢の舞台でもあったのだ。

新年一発目は新人祭り!


さて、1月10日深夜に放映される、2016年第一発目の「MJ」は、その名も「MJ NEW GENETATION SP」。
「MJ」の魅力が凝縮された、スペシャルな一夜になりそうだ。番組のブログによれば、「期待の若手から、もっと評価されるべきな実力はアーティストまで、お気に入りのアーティストがきっと見つかる放送になってます」、とのこと。実力はあるのに、なかなかメディア露出がなかったアーティストには格好の機会となるだろう。

出演者は以下の通り。

アイドル界からは過去の名曲をカバーする「アイドルネッサンス」、ヴィジュアル系からはメタラーも唸る実力派バンドの「摩天楼オペラ」、J-ROCKからはエモすぎて涙する人続出の「BLUE ENCOUNT」、耳から離れない中毒性の高い楽曲が魅力の「フレデリック」、フランスで話題の日本人「レ・ロマネスク」、新感覚覆面エレクトロな「CTS」、注目のラップ女子「TANAKA ALICE」、テレビの主題歌でも話題の超絶歌唱力「Anly」、現代版シティポップの旗手「Yogee New Waves」などの面々が登場する。

カバー領域の広さ、アーティスト選定のセンスはさすが「MJ」といったところだろう。
実際に観覧した視聴者からもSNSで驚きと興奮の声が発信されている。大いに期待できそうだ。残りの数カ月、「MJ」で新たなお気に入りアーティストを発掘してみてはいかがだろうか?
(野中すふれ)