ビートたけしさんのモノマネなどの名人芸でもお馴染み、松村邦洋氏に今回インタビューしてきました! 松村氏自身が90年代にハマっていたドラマや大河ドラマ、モノマネのことなどについて深くお聞きしています。

【松村邦洋が語る『東京ラブストーリー』】


好きだった90年代ドラマとして、松村氏は『東京ラブストーリー』を挙げます。1991年1月からフジテレビの「月9」で放送され、大ヒットしたこのドラマ。
主要キャストを務めた江口洋介さんや織田裕二さんは昭和42年生まれで松村氏と同い年だったとか。
『東京ラブストーリー』は役者の皆さんが、役者自身と演じる役がゴチャゴチャになるくらい入りこんでいました。それは視聴者側も同じで、嫌われ役を演じていた有森也実さんは街を歩けなかったと話していました」
「悪人が主役でも良い」松村邦洋が語る大河ドラマ論

松村氏が『東京ラブストーリー』で凄かったと振り返るシーンは、永尾完治(演:織田裕二)が「完治の故郷に行きたい」という赤名リカ(演:鈴木保奈美)の想いを思い出し、最終的に故郷・愛媛の小学校で再会できたという場面。
携帯がなくて簡単に連絡できないのが、逆に良いと感じました。行方不明のリカが愛媛に行くのではないかと、完治が気付くんですよ。でも完治は愛媛に行った後、すぐ学校には行かず、漁師や団子屋の人に情報を聞いたりしていました(笑)。
おそらく愛媛県のタイアップだと思うんですが、今でいう『旅サラダ』みたいなロケしていましたね。早くいけば会えるのになぁ、と思って見ていました(笑)」

織田裕二出演のドラマをよく見ていたと語る松村氏。当時は織田裕二さんのモノマネもよくしていたそう!
「山本高広くんより先に織田さんのモノマネをしていました。織田さんは『早くモノマネ見せて下さいよ』と言ってくれたり、僕のラジオにもゲストで来てくれたりしました

ところで最近、『東京ラブストーリー』の25年後を描いた続編漫画が話題になっていました。松村氏は漫画だけではなく、ドラマでも復活を期待したいと話します。
「赤名リカの息子や永尾完治の娘がどんな感じになるか、ドラマで見たいです。
ただこういう話を聞くと、ドラマから時間が経っているんだなと改めて感じますね。25年というと、広島カープが設立してから初優勝するまでと同じですから」

【松村邦洋のベスト大河ドラマは?】


ドラマというと、松村氏は大河ドラマ好きとして有名。そんな松村氏はもっとも良かった作品として、1979年の『草燃える』を挙げます。
平家を倒すために一丸になっていた源氏が、平家滅亡の瞬間から内部争いが繰り返されるのが非常に良かったです。義経などが主役ではなく、北条政子主役で源氏が滅んだ後に、北条家が最終的に実権を握るところまでをやっていました。ドロドロしていて、小学6年生ながらハマりましたよ」

そして2000年に放送された『葵 徳川三代』も入り込んで見ており、それまで豊臣びいきだった松村氏が、徳川について興味を持つきっかけになったとか。
「ちょうど2000年は阪神が弱かった時期で、他球団を解雇された選手を獲得して、必死に野村監督がやり繰りしていました。
大型補強をしていた巨人が徳川に見えた一方、阪神は大阪冬の陣・夏の陣で浪人たちを呼んで戦った豊臣方の姿に重なりましたね(笑)
「悪人が主役でも良い」松村邦洋が語る大河ドラマ論
モノマネを披露する松村氏

近年の大河ドラマでは2014年『軍師官兵衛』を挙げます。竹中直人さん演じる秀吉と寺尾聡さん演じる家康の掛け合いが良かったと松村氏。モノマネで掛け合いを再現してくれました!
(以下モノマネで)家康「殿下お召の陣羽織を賜りとう存じます」秀吉「これはわしが戦の時に着る大事な陣羽織じゃ。いくら徳川どのの頼みであっても、渡すわけにはまいらん」家康「この家康がいる限り、殿下に戦はさせませぬ。なにとぞ……」秀吉「そこまで言われたら、渡さぬわけには参らぬの」

【悪人だからこそ良い 松村邦洋の大河観】


そして『軍師官兵衛』では、出世していった秀吉が「悪く」描かれていたのが嬉しかったそう。
「秀吉は晩年、秀次を切腹させるなど相当の悪人になりました。その辺をしっかり『軍師官兵衛』では表現されていましたね。
同じく竹中さんが秀吉を演じた1996年の『秀吉』も大好きですが、あの大河は秀吉が良い人のまま終わってしまったんです」

松村氏は大河ドラマの主役が良い人である必要はなく、悪人でも良いのではと考えています。その理由とは?
「『草燃える』にしても、松平健さんが演じた北条義時がどんどん魑魅魍魎的な悪人になって終わったのが良かったんです。そういった意味では真の主役は北条政子ではなく、北条義時が真の主役だったと思っています。確かに悪い人間が悪いまま終わるのは、後味が悪いかもしれませんが、それがその人の人生。そういった人が大河ドラマの主役でも面白いと思います

また大河ドラマの良いところとして、「勝った側が負けた側を裁く」というところであると松村氏は語ります。
「平将門にしても大塩平八郎にしても、鎮圧されたから乱と呼ばれています。
一方で源頼朝はクーデターに成功したから乱と呼ばれていない。大義名分を使いながら戦い、『勝てば官軍』ということを大河から学びました

【モノマネをする人へ敬意を払う松村邦洋】


松村氏の代名詞ともいえるモノマネについても色々とお聞きしました。
これまで多くの人のモノマネをしてきた松村氏ですが、自身がモノマネする人たちに対して敬意を払う姿勢を忘れないと話します。
「自分が逆にモノマネされたときに、凄い恥ずかしくて嫌でした。こういうことを普段、自分は他の人にしているんだと思い、落ち込んだこともあります。だからこそ、自分がモノマネをさせて頂く人に敬意を払い、感謝の気持ちを忘れないようにと思っています

テレビ番組で松村氏がモノマネをする人にお歳暮を贈ることが話題になったことがありますが、これもその人への誠意の表れであるとのことです。

【いまだに緊張するビートたけしとの対面】


モノマネをしている人と実際にお会いすることもあると語る松村氏。堺雅人さんとは偶然こんなことがあったと振り返ります。

「堺さんが昨年、『Dr.倫太郎』のロケをしていたときに、たまたまお会いしました。家の近くを散歩していたらちょうど堺さんがいて、『すみません、松村さんの中野区お借りします。今度のドラマはモノマネしやすいですから』とわざわざお気づかい頂きました」
「悪人が主役でも良い」松村邦洋が語る大河ドラマ論

また、初めて出会ってから20数年が経過しているビートたけしさんとは、いまだに会う際は緊張するとのことです。
「やはりオーラがありますよね。この前行われたタイタンの20周年記念ライブのときも、たけしさんの楽屋にご挨拶に行ったのですが、緊張しました

【松村邦洋が練習中のモノマネは?】


そんな松村氏が最近、練習しているモノマネはなにかあるのでしょうか?
「最近は『下町ロケット』に出演していた世良公則さんのマネを練習していますね。(以下モノマネで)『私のコアハートは完璧だと思わないかね。コアハートがあれば、松村君もマラソンで何回倒れても大丈夫だ。私のコアハートはストップモーションだ』みたいな感じですね(笑)」

最後に、松村氏のモノマネに対する思いをお聞きしたところ、こうお答え頂きました。
僕はこの人好きだなと思った方ではないとモノマネできません。そういう意味では自分が良いなと思った人をこれからもモノマネしていきたいですね。そういう姿勢だけはいつまでも変わらずに持っていたいです