数あるカップ焼きそばの中でも1、2を争う人気を誇る『日清焼そばU.F.O.』。
1976年の発売開始以来、ピンク・レディーやサザンオールスターズ、とんねるずなどなど、総そうたる面々がCMキャラクターを務めて来たが、もっとも強烈なインパクトがあったのは、やっぱり『U.F.O.仮面ヤキソバン』だろう。


マイケル富岡演じるヤキソバン ダサさが人気の秘密?


ヤキソバンのCMは1993年スタート。演じたのは“元祖ハーフ系2枚目タレント”マイケル富岡だ。
ヤキソバンは太陽系の彼方100億キロにあるといわれる「メン惑星ヤキソバーン」の王子であり、頭上&ベルトの『日清焼そばU.F.O.』と、胸のU.F.O.ロゴがトレードマーク。「ソースアタック」「あげ玉ボンバー」などの必殺技を持ち、麺がフニャフニャになるため水を掛けられるのが弱点であり、逆にお湯は麺がシャキッとするためにパワーアップの元とされている。カップ焼きそばの特性に則った、実に味わい深いプロフィールだ。

パッケージデザインと同じく、赤と黄色のボディスーツで全身がコーディネートされているが、その何ともいえないダサさが親しみやすさを演出。洗練されたイメージのマイケル富岡と、この野暮ったさのミスマッチが受け、大人気キャラクターとなっていった。


ライバルにデーブ・スペクター、女性版ヤキソバンとして松雪泰子も登場!


日本中のヤカンを独り占めしようと企むライバル「ケトラー」はデーブ・スペクターが演じた。デーブの怪しさや胡散臭さが存分に引き出されたハマリ役である。髪型の“焼きそば感”もマッチしていた気がしないでもない!?
1994年にはオスマン・サンコン演じる「にせヤキソバン」も登場。胸のロゴが「U.F.O.」ならぬ「U.S.O.」になっており、ボディカラーが黒ベースになるなどシャレが効いていた。

1995年にはヤキソバンのいとこ「ヤキソバニー」が登場。演じたのは松雪泰子だ。
近頃は気品漂う影のある女性を演じることが多いが、当時は『白鳥麗子でございます!』でのコミカルな演技が評価されていた。
今の姿からは到底考えられないハジケっぷりで、コメディエンヌとしての本領を発揮している。

映画化にゲーム化! CMの枠を超えた人気者に


CMがシリーズ化していく中でフィギュアやぬいぐるみ等のグッズも登場。練りこまれた設定を生かしてビデオ映画化もされている。その名も『U.F.O.仮面ヤキソバン 怒りのあげ玉ボンバー』。ヤキソバンの花嫁探しがメインストーリーだ。
柴田理恵や吹越満など当時のWAHAHA本舗メンバーが総出演となっているが、そのためか下ネタも多め。
ターゲットを見失っているとしか思えないやりたい放題ぶりに、この時代の空気を感じずにはいられない。

ヤキソバンは『スーパーファミコン』のゲームにもなっている。当初はプレゼント用の非売品ソフトだったが、熱烈な要望に応える形で市販化。横スクロールの格闘アクションゲームだ。
CMにも登場した数々の必殺技が使えたり、各面の制限時間が3分だったり、何も操作をせずにいるとヤキソバンがおもむろにU.F.Oを食べ始めたりと、憎い演出がファン心理をくすぐった。

また、当時の人気バラエティ番組『とぶくすり』ではナインティナインの岡村隆史が「立ち食い仮面カケソバン」としてパロディコントを繰り広げ、人気を集めていた。

約2年の放送期間ながら、ヤキソバンの人気と影響力は絶大だったのだ。

この春より、『日清焼そばU.F.O.』は吉川晃司をメインキャラクターに据え、『スターウォーズ』風のユニークなCMを放送している。こちらも遊び心あふれる作りこまれた世界観で、シリーズ化しそうな気配。そこに復活したヤキソバンの登場を期待してしまうのは筆者だけだろうか?
マイケル富岡がヤキソバンに起用されたのは「究極のソース顔だから」という点が大きいそうだ。ならば2代目ヤキソバンとして、ショーンKことショーン・マクアードル川上氏はいかがだろう。学歴詐称のみそぎとしての話題性は十分の上、“天然もの”かどうかはさておき、かなりのソース顔には違いないのである。

(バーグマン田形)

※イメージ画像はamazonよりU.F.O.仮面ヤキソバン~怒りのあげ玉ボンバー [VHS]