2016年6月30日「YEN TOWN BAND」が完全復活というニュースが流れた。約20年前の懐かしい思い出にふける人もいるだろうが、「なにそれ?」と疑問に思う人もいるはず。
そこで今回は映画から生まれた架空のバンド「YEN TOWN BAND」の魅力を振り返っていこう。

映画内に登場するバンドだが…


YEN TOWN BANDとは、1996年公開の映画『スワロウテイル』(岩井俊二監督)の劇中に登場するバンドのこと。YEN TOWN BANDを知るには映画の内容を知る必要があるので、まずは簡単に『スワロウテイル』のあらすじを紹介しよう。

最も強い通貨として「円」が支配する世界。日本の架空の都市「円都(イェンタウン)」には、一攫千金を夢見て外国からたくさんの違法移民が集まってきていた。日本人は彼らを「円盗(イェンタウン)」と呼び蔑んでいる。そんな円盗の一人である上海からやってきた主人公グリコ(Chara)は、人々を魅了する歌声を持つ。

しかしある時、面倒をみることになった少女アゲハを守ろうとして、円盗の仲間がヤクザを誤って殺害してしまう。偶然にもヤクザの体内には偽一万円札のデータが記録されたカセットテープが入っていた。意図せず偽札で大金を手に入れた彼らは、グリコの夢を叶えるためライブハウス「YEN TOWN CLUB」をオープンする。グリコはロックバンドのボーカルとしてスターダムを駆け上るが……。

劇中におさまらない、贅沢すぎるバンドだった!


バンド名のYEN TOWN BANDは、グリコが歌ったライブハウスの名称からきている。映画の世界観をそのまま体現したかのような『スワロウテイル』の主題歌は、実際にリリースされるや瞬く間に人気を博した。
CDシングル『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』とアルバム『MONTAGE』は、オリコンチャートで同時1位にランクするなど大ヒット。
それもそのはずで、バンドをプロデュースしたのはMr.Chidrenも手掛けた音楽プロデューサーの小林武史、作詞には岩井俊二監督も参加したとあって、完成度の高い楽曲に仕上がっている。まさに劇中だけで終わらすにはもったいない、贅沢なバンドだったのだ。

名実ともに90年代を代表するロックバンドとして、音楽シーンに名を刻むYEN TOWN BAND。そんな架空の世界から生まれたバンドが2015年より再始動し、今年本格復帰を果たした。7月20日には、新曲「アイノネ」を含むアルバム「diverse journey」を発売した。


YEN TOWN BANDが現代で、どんな世界観を今後見せてくれるのか楽しみだ。
(chensuik)

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