毎年、リニューアル等を含め2,000種類もの新商品が登場するという清涼飲料業界。
しかし、ヒットするのは1,000品投入された内、わずか3品程度しかないという。
「センミツ」と呼ばれるほどに生存競争の厳しい業界なのだ。

大物芸能人のCM起用により鳴り物入りで登場しながらも、いつの間にか消えていた。そんな商品は山ほどある。中でも、筆者の思い出に強く刻まれた90年代を代表するドリンク4選をここで紹介したい。

たけしがアジるCMが印象的だったカフェイン2倍コーラ


■UCC『ジョルトコーラ』

アメリカ発の商品であり、1990年に日本ではUCC(上島珈琲)より発売となる。
最大の特徴はカフェイン2倍。コカ・コーラが築き上げてきた「スカッと爽やか」なイメージを覆す、キツめの炭酸でシビれる辛口が売りであり、毒々しささえ感じる刺激的な味わいだった。


パッケージデザインも、洗練されたコカ・コーラに対して、荒々しいグラフティ調でワイルドさを強調。さらに、ビートたけしがCMキャラクターを務め、新たなコーラの誕生を強くイメージ付けた。
当時のたけしは、前年に『その男、凶暴につき』で初の映画監督を務め、よりマルチな活躍をし始めた時期。映画で見せたバイオレンスな姿のインパクトは十分であり、商品コンセプトである「過激なコーラ」のイメージが猛スピードで浸透して行く。
90年代を感じる「まぼろしのドリンク」4選【90年代前半編】
※写真はイメージです

CMは、ビートたけしが「ジョルト党」を立ち上げ、その党首となったたけしがジョルト党の党則を勢いよく叫んで行く設定。
「ジョルト以外はコーラと思わないように努力する」
「ジョルト以外を口にすることはとりあえず人前では避ける」

ハイテンションなノリにごまかされていたが、あらためて活字にすると、意外と他社のコーラに配慮した控えめな内容である。


CMでは、「日本のコーラはこうなります。」と力強く締めていたが、コーラ市場を崩すことはできず、95年には味もパッケージもマイルドに変更。飲みやすい味わいになったと同時に個性をすべて失ってしまった。
生産量を減らしながら細々と販売を続け、2001年に生産終了となった。

「ジョーどこ?」江口洋介人気が支えたコーヒー飲料


■アサヒ『J.O.(ジョー)』

90年発売開始のコーヒー飲料。当初は王貞治&ハンク・アーロンという日米ホームラン王によるCMだった。91年末に江口洋介がCMキャラクターになり、「ジョーどこ?」のフレーズとともに人気が爆発することになる。当時の江口はトレンディドラマで大ブレイク中。
ロン毛をなびかせた江口スタイルの若者が続出し、ファッションリーダーとしても抜群の人気を誇っていた。
90年代を感じる「まぼろしのドリンク」4選【90年代前半編】
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アーティスト活動にも力を入れており、自身の曲をバックに様々なバージョンが作られている。共通するのはクールな2枚目イメージと「ジョーどこ?」のフレーズ。髪型やファッションはともかく、このフレーズはマネする人続出。
背中越しに投げた缶を前方でキャッチするバージョンもいくつかあったが、こちらをマネして、友だちや自分の頭に当てたり、缶を破損したりと、大惨事となった方も多いはずだ。……筆者もそうである。


『J.O.』は97年に『WONDA(ワンダ)』に改称。現在「ジョーはどこにもない」のである。

ダウンタウンが共演したリフレッシュ飲料


■キリン『osmo(オズモ)』
90年代を感じる「まぼろしのドリンク」4選【90年代前半編】
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92年に発売されたリフレッシュ飲料。味的にはスゥーッとするオロナミンCといった感じだった。
ダウンタウンがコンビでCMキャラクターを務めていたが、「体の芯にうまし!」のフレーズはそこまで流行らなかった。

『ダウンタウンのごっつえぇ感じ』の放送開始は前年末。国民的人気者まで後一歩の時期である。
この頃はロッテやゲームのハドソンのCMなどに揃って多数出演。2人の顔のドアップとなるCMがやたら多かった記憶がある。

ジャッキー・チェン製作!?のブレンド茶


■ポッカ『暴暴茶(ボウボウチャ)』

94年に発売されたブレンド中国茶。前年に登場したアサヒ『十六茶』のヒットによりブレンド茶ブームが始まり、各社がこぞって新商品を投入。
そんな中、ジャッキー・チェンが製作したという触れ込みで、本人がCMにも出演していたのが『暴暴茶』だ。
90年代を感じる「まぼろしのドリンク」4選【90年代前半編】
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CMでは、笑顔のジャッキーによる決めフレーズの「毎日、飲んでます」が「毎日、ぬんでます」にしか聞こえず、マネする人が続出したが、これは狙っての演出だったのだろうか?
苦味と甘味が複雑に入り混じった味は、ジャッキーファンであっても支持しがたく、市場からの撤退は早かった。


元々、香港で話題になったブレンド茶であり、ジャッキーとは無関係な暴暴茶なら、現在でもネットや中華街でも手に入る。パンチの効いた名前の由来は、「これを飲めば暴飲暴食をして大丈夫」的なことからだそう。私もたまに「ぬんでました」!

90年代後半には、香取慎吾がCMしていたサントリー『QUAN FOO(カンフー)』、PUFFYのキリン『天然育ち』、中田英寿のアサヒ『オー・プラス』、モー娘のJT『飲茶楼(やむちゃロウ)』などなど、まだまだ思い出のCM&あの味はある。またの機会に振り返るとしよう!

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