NHKの人気番組『ブラタモリ』の6月10日、17日放送回において、初めて名古屋が取り上げられる。
タモリはかねてから名古屋をネタにしていただけに、放送前から大きな話題となっている。
ネットでは公式発表前に、タモリが名古屋をロケで訪れた様子が報告されており、注目が集まっていた。

現在は、「知的で物静かなおじいちゃん」というイメージが強いタモリであるが、デビュー当初は毒気にあふれる存在だった。
タモリは、舞台上で歌や漫談を次々と繰り広げる、アメリカのヴォードヴィルの影響を強く受けており、しみったれたもの、イモっぽいものを徹底して嫌った。そうした華やかな世界とは対照的な四畳半フォークを歌うさだまさしを「ネクラ」と批判したことはよく知られている。

名古屋はそんなタモリが批判の対象としたひとつだ。

タモリが展開した「名古屋批判」


タモリはレギュラーを務めていたラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送系)などで、長きに渡って名古屋批判を展開した。
「東京と大阪に挟まれて独特のコンプレックスがある」「見栄っ張りでケチ」「語尾にみゃーをつけるので『みゃーみゃー』うるさい」といった内容だ。


「エビフライをエビフリャーと言う」鉄板の名古屋ネタも実はタモリによって広められたもの。
そもそもタモリがネタにした時、エビフライは名古屋名物ではなかったが、これに便乗した店舗が「名古屋名物」とうたったことなどもあり、その後「名古屋=エビフライ」のイメージが定着した。

オリンピック開催地に落選した名古屋市


そして1980年、名古屋市が1988年の夏季オリンピック開催地として立候補したことから、タモリの言う「見栄っ張りな名古屋」が現実のものとなった。
事前の予想では名古屋有利とみられ、各テレビ局は開催決定を前提として生放送の特番を組んでいたほどだが、結果は韓国のソウルに破れ大惨敗。何とも後味が悪い結果となった。

タモリも名古屋落選が決まったIOC総会の1時間後に放送された『タモリのオールナイトニッポン』の中で、「名古屋とわたし、両者にとって、不幸な晩でしたね」と振り返っている。

タモリが考案した「ださいたま」


また、タモリは名古屋に限らずあらゆる地方都市をネタにしていた。
埼玉県を「野暮ったい」と揶揄する意味で使われる「ださいたま」のフレーズもタモリが考案したものだ。

タモリと名古屋の30年来の“和解”はどのように描かれるのか。今から楽しみだ。

※イメージ画像はamazonよりブラタモリ 7 京都(嵐山・伏見) 志摩 伊勢(伊勢神宮・お伊勢参り)