火星圏を牛耳る巨大なチャイニーズマフィア「レッドドラゴン」の幹部。元軍人で、タイタン戦役に従軍していた過去を持ち、長身痩躯で常に日本刀を携えている彼の性格はまさに「闘争好き」という印象が強く、過去に世話になった組織の恩人であろうと平気で殺すほどの残忍さを秘めています。
そんな血を求める冷酷さが目立つ一方で、圧倒的なカリスマ性、そして時折見せる人間らしさがビシャスというキャラクターの魅力です。


⇒ビシャスとは?(カウボーイビバップ)
http://www.charapedia.jp/character/info/19457/


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■初登場からの強烈なインパクト

 劇中では第5話より登場。恩人のチャイニーズマフィア幹部と敵対組織の取引現場を襲撃し皆殺しにするなど、初登場の時点でかなり危険な雰囲気を醸し出しています。その後、スパイクをおびき寄せるために殺した恩人の遺体を利用、古びた教会で彼と再会してすぐに殺し合いを始めるなど、その残忍さは視聴者に衝撃を与えました。


 戦闘力も凄まじく、ナイフや日本刀一本で銃を持った相手との距離を詰め、斬り捨てたり、戦闘機に乗り空中戦を仕掛けるといったことも簡単にこなし、ビシャス自身の強さも計り知れません。

■時々見せる人間らしさのギャップ

 かつては主人公「スパイク」と友人でしたが、ビシャスの恋人「ジュリア」を巡り、壮絶な戦いを繰り広げる宿敵の仲へと変貌した過去があります。そんな彼ですが、過去にタイタンで戦っていた時に大事にしていた小さなオルゴールを戦友の「グレン」に渡したり、組織内の部下に情けをかけるなどの人間らしさを秘めています。氷のような冷たい表情に隠れた優しさや硬派な一面に、観た人は魅かれること間違いありません。

■ビシャスの悲しいセリフに注目

 人間の性格というのは周りの環境や、過去の出来事がきっかけで形成されると言っても過言ではありません。冷酷かつ非情な印象の強いビシャスですが、彼こそがそれを一番体現している存在ではないでしょうか?

 青年期にはタイタンで兵士として壮絶な戦いの日々を過ごし、信用している親友に恋人を寝取られるという境遇に陥るなど、彼自身もまた絶望を味わった被害者であり、冷徹さに徹しようとするその姿には同情の念を禁じえません。
そんなビシャスだからこそ、彼が話す、どこか陰のあるセリフには説得力があり、信じていた人に裏切られた言い知れぬ悲しみと怒りの念というが、観ていてビシビシと伝わってきます。「この世に、信じていいものなど……。」

 笑いのある賑々しいギャグ展開と、殺伐とした要素の多いシリアスな展開を兼ね備えている『カウボーイビバップ』。個性的すぎるキャラクターをはじめ、軽快なジャズミュージックの挿入やスピード感満載の戦闘演出は、今見ても作品の古さを全く感じさせません。気になる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。


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★記者:ザッキー(キャラペディア公式ライター【バンタンゲームアカデミー ゲームライター専攻】)

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