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死してこそ、ヒトに役立つ花粉かな

マツの花粉化石(写真提供:応用地質株式会社)

街中でちらほら花粉症マスクをしている人を見かけるようになった。

私は元々がアレルギー体質のせいか1年中鼻をぐずつかせているので、花粉症を意識することがない。他人の症状を見て花粉の季節の到来を感じるのである。

改めて考えると当然と言えば当然だが、花粉は生きている。
生きているから花粉が人間の鼻や目に侵入すると粘膜を刺激して発症するのである。
正確に言うと、犬や猫や猿などの動物にも花粉症はあるので、日本全国のあらゆる生き物がこの季節には鼻をぐずぐずにして、目をこすって真っ赤にしているのだろう。

こんなにお騒がせな花粉だけれど、時には役に立つこともある。(もちろん花粉自身にとっては繁殖という重要なミッションを担っているのだけれど)
花粉は外殻がめったやたらに頑強なので、空中浮遊の後、地面に着地して運悪くパートナーに巡り逢えずに命が尽きたとしても、土に帰ることなくそのままの形で残ってしまう。するとどうなるかと言うと、地中に埋もれて化石となってしまうのだ。

花粉の化石なんて何の役に立つのかと思うけれど、どんな環境にも順応して生きて行くことが出来る人間などと違って、植物の生育は気象条件に大きく左右されるので、その植物の存在自体が年代や地域の気候を指し示しているのだ。

日本全国には44万ヶ所とも言われる遺跡が発見されていて、さまざまな出土品とともに花粉化石も発掘されている。特定の地層から特定の花粉が発見されるので、花粉化石を分析して花粉の種類や分量を調査することで、年代や気候推定が行われている。
数万年前の氷河期の存在や、その地域が陸地だったのか海や湿地だったのかを推定できるのも、花粉分析が役に立っているのだ。

花粉化石の姿かたちはほぼ生前のままだけれど、生命活動は終了している。
もし発掘された花粉からも花粉症が発症したら、まるでバンパイヤかバイオハザードの世界観だけれど、今のところその事例はないようだ。

空中には生きた花粉が舞い踊り、地中では化石としてその存在感を示す花粉。
1万年後の日本の地層からは大量のスギの花粉化石が発掘されて、今の温暖化を力いっぱい誇示しているかも知れない。(シロー)
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2005年2月27日 00時00分

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