アメリカで「カルピス」が「カルピコ」になった理由
よく見るとカルピコ
以前、このBitでも紹介したが、最近シカゴの日系食料品店にはアメリカ人オタクな若者が集まっている。コスプレの帰りか行く前か、と思わせるような格好のグループがいたり、浴衣を着ていたり、と日系のスーパーマーケットは彼等にとっては「気軽に行ける日本」になっていて、日本の食料品を購入しては、フードコートに腰掛けて食べているのをよく見かける。
そのうえ、日本に行ったことがないわりに、何故か日本の食料品にとても詳しい。

アメリカ人漫画家、ろくチャンもこのスーパーマーケットの常連だ。彼女や他のアメリカ人オタクから「なんでポカリスエットなんていうドリンクを飲めるのか」という「信じられないよ〜日本人。汗を飲むなんて」という裏の声も聞き取り、我々日本人は何とも思わず、気づかずに飲んでいたドリンクに嫌悪を示していたことを知った。
スエットとは英語で汗のこと。体から目に見えて失われる「汗」を表したということで商品名となったポカリスエットだが、当時このネーミングに対して「汗に変わる言葉を使用した方がいいのでは?」というような反対意見というのはなかったのだろうか?
ポカリスエットのマーケティングマネージャーの豊川さんに聞いてみた。

「それが全然なかったんですよ、即決でしたね。」ということだった。
例えば欧米向けに商品名を変えて販売するような予定はないですか?という問いには「欧米でこのネーミングは受け入れられないのは理解していますので、販売予定はないです。」とても潔い回答を頂いた。
アメリカ人オタクのリッチー君が「日本にあるカルピスは、ここのお店では売ってないんだけど、あったらやっぱり飲みたくないかも」と言っていたのを思い出した。
というのも欧米人にはカルピスはどうもカウピス(牛のおしっこ)と聞こえるらしい。そんなこともあってか欧米向けカルピスは「カルピコ」と商品名を変えて販売されている。製品自体は同様のものでも商品名をそれぞれのニーズに合わせているのだろう。


そんなことをリッチー君に教えたら「あ〜カルピコのことか。それなら飲んだ事あるな。全然牛のおしっこなんかじゃないじゃない」と笑っていた。

唐辛子の七味も欧米向けには「Nanamiとうがらし」として販売されている。一味と七味が発音上似ているので混同されるのを恐れて、ななみとしているという。

輸出品にしろ、輸入品にしろ、商品名をそれぞれ変化させることで、どこでも誰でも手に入り易くなるのだろう。
所変われば名前も変わるのだ。(シカゴ/あらた)