半年程前になるのだが、入場料が缶詰1つというインスタレーションアートの展覧会があるというので、物見遊山で出かけて行った。
会場はNYミッドタウンに位置する、数十のインテリアデザイン会社が入るオフィスビル。ショールームに展示された、超ファッショナブルな照明器具と最新機能のシステムキッチンに混じり、何百何千もの缶詰めを積み上げた、愛嬌のある缶詰の作品が並んでいた。
この缶詰の展覧会を主催したのは、アートとチャリティーを融合させるNPO団体、「キャンストラクション(Canstruction)」。プロのデザイナーなどで構成されるこの団体では、家庭で余った缶詰や、ラベルの破損等で売り物にならなくなった食品、企業から寄付された食料品を集め、それらでインスタレーションアートを披露する。
展覧会終了後、集めた食料品は、生活困窮者やホームレスに無償で配るフードバンク団体へ寄付される。もちろん、入り口で渡した入場料の缶詰も支援となる。1992年に始まった彼らの活動は、ニューヨーク、ロサンゼルスをはじめとする全米各地で広まっている。
アメリカでは、こういった寄付と別の活動をコラボしたチャリティー活動が盛んだ。特にこういったアートとのコラボは、企業イメージがアップされやすいこともあって歓迎されている。会場を提供したオフィスビルも、普段より人が集まることで、ビジネスチャンスが期待できるのだそうだ。
参加する側も、チャリティーというと、どうしても照れくさかったりするのだが、アート鑑賞を通じて福祉活動に参加できるなら、あまり肩肘張らなくてもできる。台所の片隅に眠っていた缶詰が、誰かのお腹を満たすのだと思うと、心が温まる気がする。また日本が誇るもったいない精神にも通じるじゃないか。
キャンストラクションがサポートするフードバンクという活動は、日本でも拡げられている。今年3月幕張メッッセで開催されたアジア最大級の食品・飲料専門展示会「FOODEX JAPAN 2008/第33回国際食品・飲料展」では、日本のフードバンクの先駆け的な存在、NPO法人「セカンドハーベストジャパン」のブースが設けられ、フードバンクの活動に熱心に耳を傾ける来場者で込み合っていたそうだ。…



