「プライベートな空間が欲しい」とぼやいているお父さん。「たまには一人になりたいわ~」と嘆いているお母さん。
「僕にも一人部屋がほしい!」と訴えるお子さん。そんな家族の悩みを解決する商品がある。アウトドア用品などを企画販売するビーズ株式会社の新製品「ぼっちてんと」だ。

デスク周りにテントを張るという、ありそうでなかった発想。家族と同居していてパソコンのモニターをのぞかれると、気になって作業に集中できなくなる。そんな時、手軽に個室状態を作り出したいと思ったことが、同商品誕生のきっかけだったという。

家庭用を想定して作ったが企業からの反響も大きく、「これから家だけでなく会社でも利用例が広がるのでは」と話すのは製品開発担当者の川瀬さん。

同社はアウトドアグッズ、キャンプ用品を取り扱っているので、テントのメリットやデメリットを知り尽くしている。以前から、テントの機能をうまく利用すれば、室内という新たな世界でテントを展開できると考えていたそうだ。

収納バッグから取り出せば、ポンッと簡単に開くので、デスクにかぶせるだけで手軽にプライベート空間が作れる。横幅が130センチ、高さが160センチあるので、通常のデスクであればすっぽり収まる。
「デスク、チェア、パソコンを置いてもゆったり過ごせますが、それ以上の余計な物や人は入れないので、目の前のモニターに集中できる『最高の狭さ』を追求しました」(川瀬さん)

こぢんまりとしたスペースだが適度な閉塞感があり、何よりプライバシーが保たれる。
まさに、一人の空間が欲しい家族の要望にピッタリの商品だ。

ネーミングは、ネットスラングの「周囲から孤立した存在」をさす「ぼっち」から。「ぼっちであることや引きこもってネットばかりしていることは決して恥ずかしいことではありません。どうせこもるなら、徹底的にこもって自分の世界を追求しよう!」という意味を込めて、あえて名づけたとのこと。

実際の購入した人の使い方はさまざまで、受験勉強で集中するために使う人もいれば、カメラが趣味の人は暗室に使いたいという声もあるそうだ。
「ゲーム、資格勉強用、ウォークインクローゼット、避難所でのプライベート確保に、お客様がご自身で用途を考えられます」

ネットカフェのように、家族が使いたい時間に交代で好きなものを持ち込んで使用し、その時間だけはそっとしておいて! という手もありだろう。


ちなみに、内側からも外側からも鍵を締めることができるので、実際の個人部屋よりもプライバシーがあるような……。
「ネタ半分ですが、家族にも見られたくないものがパソコンに入っていたり、恥ずかしいグッズをテント内に収納している場合に重宝します(笑)テントを持ち上げれば侵入できてしまいますが、カギがある方が抑止力になりますから」

特に注意した点は通気性だという。「中に熱がこもると夏場は熱中症の恐れがあります。天井をファスナーでフルオープンにして側面にも開閉式ベンチレータをつけていますので、クーラーの冷気を効率的に取り込めるようにしました」

最後に川瀬さんは「『ぼっちてんと』を通して、自分の時間を自分の空間で過ごす心地よさ、趣味や作業に集中・没頭できる環境を手軽に提供できれば」と語ってくれた。

秘密の楽園は誰もが持ちたいもの。中で何をしているんだろう……と気になるかもしれませんが、「ぼっちてんと」でたまには家族を「ぼっち」にしてあげませんか?
(山下敦子)