さまざまなゴキブリ駆除商品・サービスが登場し、進化を続ける昨今。にもかかわらず、ドラッグストアなどに行くと、いまだに主力商品として陳列しているのが、昔からおなじみの「ごきぶりホイホイ」だ。


「姿を絶対に見たくない」という欲求が多数ある一方で、もしかして「確実に捕獲した」という実感が得られないと気が済まない人もそれなりにいるのだろうか。
ごきぶりホイホイを販売するアース製薬に聞いてみた。

「他製品にない、ごきぶりホイホイの最大のメリットは、『ゴキブリの捕獲力』です。独自のデコボコ粘着シートと足ふきマット、強力誘引剤が、捕獲力を最大限にアップさせています」

多数の商品・サービスがあるなか、売上の変化は?
「ゴキブリ捕獲器市場は、くん煙・くん蒸剤、ゴキブリ用エアゾール、ゴキブリ用毒餌剤等、ゴキブリ駆除製品が次々に発売されたため、消費は分散しました。ゴキブリ駆除製品の市場規模は、ここ数年ほぼ横ばいとなっており、捕獲器も同様に安定した市場を形成しています。その中で “ごきぶりホイホイ”はゴキブリ捕獲器市場の93.5パーセントのシェア(アース調べ)を確保しています」

いまも捕獲器ではあまりに圧倒的な支持を得ているわけだが、そもそもなぜ「ハウス」にしたのだろうか。

「発売前、多くの家庭で利用されていたのは、ゴキブリを生け捕りにする透明プラスチック製の捕獲器でした。 捕獲後は、生きたままなので、直射日光に当てるか水に漬けるなどして自分で殺さなければならず、中のごきぶりが見えるため、不快なものでした」
そこで同社プロジェクトチームが考えた開発方針は、
(1)市販の従来の製品より優れた効果があること
(2)ディスポーザブル、つまり使い捨て商品であること
(3)殺虫剤など一切使用しない無公害であること
(4)とりもち式であること
(5)消費者が使って楽しい商品であること
の5点だったそう。
そして、上記を踏まえて登場したのが、紙製の箱(ハウス)だったわけだ。

ロングセラー商品・ごきぶりホイホイの開発から現在に至るまでの、構造上変わってきた点や改善点を以下にまとめてみたい。

・1973年 
ごきぶりホイホイ誕生
特殊誘引剤が入ったチューブ式の粘着剤が同梱されており、設置時に自らハウスの底に描かれた点線に沿って粘着剤を塗る仕様。

・1978年 
ハウスの底を改良
ハウスの底に粘着剤を塗る手間を省くべく、現在のものと同様にシートをはがせばすぐに使える仕様。


・1994年 
足ふきマット付 を発売
粘着力を弱める原因であったゴキブリの足についたキッチンまわりなどでの油分や水分を吸収する「足ふきマット」を入口に設置し、捕獲力をアップ。

・1996年 
誘引剤を改良
誘引剤にエビ、肉、野菜などを使用。ゴキブリにとって魅力的な風味を詰め込み、誘引力をアップ。

・1998年
デコボコ粘着シート付 を発売
フラットな粘着剤に起伏(凸凹)をつけることにより、ゴキブリがハウスの中で動けば動くほど足がのめりこみ、身動きできなくなり捕獲力をアップ。
また、同年ゴキブリの潜む狭い隙間にもフィットする“ちびっこホイホイ”を発売。

ちなみに、現在ごきぶりホイホイは、米国や欧州、アジアなど30か国以上で販売しているそう。
どの時代にも一定数存在する「目に見えるカタチで確実にゴキブリを駆除したい」願望は、世界各国にあるようだった。
(田幸和歌子)