「赤いきつねと緑のたぬき〜♪」というCMソングでおなじみのカップ製麺「赤いきつね」と「緑のたぬき」(東洋水産)。1978(昭和53)年に「赤いきつねうどん」が登場し、その後1980(昭和55)年に「緑のたぬき天そば」が発売されて以来、武田鉄矢の出演するCMと共に日本中で愛されてきた商品だ。


【熱々の美味しさがが伝わるネーミングに】


日本人なら誰もが一度は口にしたことがあるだろう「赤いきつね」と「緑のたぬき」だが、なぜ「きつねは赤」で「たぬきは緑」なのか? そのネーミングの由来はあまり知られていないのでは。

東洋水産によると、「赤いきつね」は「開発当初は熱々の美味しさが伝わるようにと、『赤いきつねうどん』という名で発売される予定」だったという。しかし「店頭で目立ちシズル感のある『赤』を基調としたデザインが採用されることになり、商品名もユニークでインパクトのある『赤いきつね』に決まりました」とのこと。
「赤いきつねと緑のたぬき」、きつねが「赤」でたぬきが「緑」の意外な理由
マルちゃん 赤いきつねうどん/東洋水産

たしかに「赤いきつね」というほうが、より購買意欲が湧いてくる。そして「緑のたぬき」のネーミングは、「赤いきつね」のシリーズ品として位置づけられた商品であったために、赤と補色関係にある「緑」が採用されたそうだ。
「赤いきつねと緑のたぬき」、きつねが「赤」でたぬきが「緑」の意外な理由
マルちゃん 緑のたぬき天そば/東洋水産

「緑のたぬき」が「赤いきつね」の後続商品であったことが、「緑のたぬき」というキャッチーなネーミングを生み出したきっかけだったとは驚きだ。

【東西で味付け&カロリーが違うという事実】


そんな「赤いきつね」と「緑のたぬき」だが、販売エリアによって味付けとカロリーが異なるという。販売エリアは、関東・東北地区、西日本地区、関西地区、北海道地区の4つ。


関東・東北地区で販売されている「赤いきつねうどん(東向け)」は、風味豊かな鰹節と昆布だしを利かせた関東風のおつゆ、そしてなめらかでコシのあるうどん、味のしみた大きなお揚げが特徴だ。鰹節には、焼津産のカツオが使用されている(432kcal)。

一方、西日本地区向けの「赤いきつねうどん(西向け)」は、昆布だしに鰹節・煮干し・雑節のだしを利かせた西日本向けのつゆに仕上がっている。こちらには、うるめ鰯がたっぷりと使用されているのがポイント(436kcal)。

そして関西地区向けの「赤いきつねうどん(関西)」は、西日本地区向けのつゆをベースに、淡口の醤油を用いてスッキリとした味わいに仕上がっている。ぜひ西日本地区向けのもとの食べ比べてみたい一品だ(432kcal)。


最後に、北海道地区で販売されているのが「赤いきつねうどん(北海道)」。こちらは北海道らしく、鰹節に利尻昆布のだしが利いているのが特徴。醤油は濃い口がチョイスされていて、他のエリアとは異なるオリジナリティのある味に仕上がっている(440kcal)。

嬉しいことに、「緑のたぬき」の「だし」も販売エリアによって4つのバージョンが用意されているので、こちらも合わせて食べ比べてみたいところ。

【「だし」にこだわるからこそ美味しい】


そんな「だし」を美味しく感じるのは、うま味成分のアミノ酸が含まれているから。うま味を代表するグルタミン酸は天然食品のタンパク質を構成するアミノ酸のうち最大の量を占めており、とくに植物性食品に多く含有されている。
他方で、魚介類や肉などの動物性食品にはイノシン酸などが多く含まれているのが特徴だ。

昆布などに含まれるグルタミン酸などのアミノ酸系のうま味成分、そして鰹節などの動物性食品に含まれるイノシン酸がセットになると、さらに強いうま味を感じることができる。「赤いきつね・緑のたぬき」は、この「うま味の相乗効果」と呼ばれる「だし」のブレンドによって、「うまい!」と思わせてくれるのだ。

このように販売エリアによって「だし」変えるという東洋水産のこだわりぶり。旅行に行った際は、ぜひ現地の「赤いきつね・緑のたぬき」をお土産に買って、地元の味と食べ比べてみてはいかがだろうか?
(はなふさ ゆう)