最近、車に乗らない知人からも「ハイブリッドカーは環境に優しい」「低燃費が良い」といった話題をふられるが、いつも「よくわからないので解説して」というオチになる。というわけで、筆者がよく解説を求められる「車とエコ」に関するキーワード、「燃費」「ハイブリッド」「プラグインハイブリッド」「クリーンディーゼル」についてお話ししよう。


燃費(ねんぴ)とは「燃料消費率」のことで、「燃費が良い」=「使う燃料は少なく、走る距離は長い」である。
一般的には「km/L(キロメートル毎リットル)」という単位で表され、1リットルの燃料(ガソリンや軽油など)で何キロメートル走れるのか、ということを表す。
つまり、この値が大きければ、たくさんの距離が走れるということで、言い換えれば、少ない燃料で走れるということである。
燃費の値が大きければ「燃費が良い」し、燃料消費が少ないので「低燃費」や「省燃費」といえる(燃費の値は大きいのに「低」とつくので少しややこしい)。
海外では逆に「L/100km」と、「100km走るのに何Lの燃料が必要か」と表すこともあり、この場合は値が小さいほうが「燃費が良く」、文字通り「低燃費」だ。

燃費が良いと、消費する燃料が少ないので、燃料代節約になるし、燃料を燃やしたときに発生する二酸化炭素(CO2)を減らせるので、「エコ」といわれるわけである。


燃費を車の性能の中で重視する消費者は多く、カタログにも書かれているが、この値は、国土交通省が定めた方法で計測されている(いわゆる「10・15モード」や「JC08モード」)。ただ、ほとんどの場合、実際に道を走るよりも良い値(高い値)となっている。実際は、渋滞でスムーズに走れず燃料が無駄になったり、燃料を節約する走り方は難しかったりと、道路と運転手が理想的な条件じゃなく、燃費は悪化する。

さて、誰もが知ってる「ハイブリッドカー」、そして「プラグインハイブリッド」や「クリーンディーゼル車」は、どのようなものなのか。もちろん、どの車も「エコカー」や「低燃費車」と呼ばれるものだ。

そもそも、いわゆる「普通の車」は、ガソリンや軽油を燃やす(爆発させる)エネルギーでエンジンを回して走り、「電気自動車」はモーターを電気で回して走る。
前者は排気ガスは出すし騒音は大きいのに対して、後者は排気ガスは出さないし騒音も静かだ。

ハイブリッドカーは「異なる複数の動力源を持つ車」という意味で様々な方式があるが、一般的にはガソリンエンジンと電気モーターを併用する方式の車のことをいう。
トヨタ・プリウスやホンダ・インサイトは、もちろんガソリンエンジン+電気モーター方式だ。

ハイブリッドカーも、基本的には普通のガソリンエンジン車と同じく、ガソリンでエンジンを回すことで、走行したり、バッテリー(電池)を充電する。
大きく違うのは、普通の車は充電した電気は、ライト(灯火類)やエアコンやカーナビなどのみに使うのに対して、ハイブリッドカーは電気を走ることにも使うこと。そのため、ハイブリッドカーには通常よりもかなり大型のバッテリーが積まれている。

エンジンとモーター両方を使うことにより、エンジンの負担を減らし、ガソリンを節約できるし、エンジンを低燃費の小型なものにすることもできる。

また、通常ブレーキをかけて減速するときは「運動エネルギーを熱エネルギーに変えて捨てる」わけだが、ハイブリッドカーの場合、「運動エネルギーを電気エネルギーに変えて充電」し、再び加速する時に使う。こうして、ガソリンを燃やして出たエネルギーを有効利用することで、「低燃費」を実現し、発生するCO2を通常のガソリン車よりも少なくできるので「エコ」なのである。
ただし、山などで長い登りが続くと充電できず、モーターやバッテリーが「単なる重荷」になり燃費が悪化したり、加減速の少ない高速道路ではエンジンをずっと回して走るので、ハイブリッドのメリットを活かせなかったりと、弱点もある。

トヨタ・プリウスは電気モーターのみで走ることも可能で、これに、バッテリー容量を増やし、コンセントから充電できるような改良を加えた「プラグインハイブリッド(PHV)」タイプのものも2年後には一般発売される。家で充電しておけば、近所の買い物程度の距離(約20km)なら、エンジンを回さずに走れるので、「電気自動車」として使えるし、遠出をしたいときはエンジンを使って「ハイブリッドカー」として使える。


最後に「クリーンディーゼル」。ディーゼル自動車は軽油を燃料とし、トラックのほとんどがディーゼル車だ。黒いススを出しながら走り、騒音も大きいといったイメージから、「環境に悪い!」というイメージが大きい。しかし実は、ガソリン車よりもディーゼル車の方が「燃費が良く、CO2排出量も少なく」、ススや有害物質の排出を抑える改良が加えられたクリーンなディーゼル車が欧州ではトラックだけでなく乗用車にも急速に普及している。日本でも最近注目され始め、クリーンディーゼルエンジン搭載の乗用車の販売が始まっており、「エコカー」に仲間入りしているわけである。

この他にも、「燃料電池自動車」「水素自動車」「LPG自動車」「バイオ燃料」などと話し出したらきりがないが、毎回この辺りで知人に「わかったからもう良い」と言われてしまうので、筆を置くことにする。

(もがみ)