熱戦が続いたバンクーバーオリンピック。閉会式で聖火が消えた時、筆者の脳裏には一つの消えない疑問が残った。


スキーのアルペン競技である、「回転」「大回転」「スーパー大回転」「滑降」という4種目の、違いがよく分からなかった。

気になったので、長野県スキー連盟のサイトに掲載されている「アルペンスキー国際競技規則」を読んでみたところ、旗門(コースを規定するフラッグ、外側を通る必要がある)の数やコースの標高でそれぞれ違いがあることが判明した。基本的に、回転、大回転、スーパー大回転、滑降の順に、旗門が少なく、標高が高くなり、ターン技術よりもスピードが要求されるようである。

全日本スキー連盟著「競技スキー教程」を読むと、各競技の特徴がよくわかる。紹介するとこんな感じである。

回転:もっとも“集中力”を必要とする競技である。
集中力とは、知識と経験、そして明晰な記憶力とが一体となって生まれるものである。

大回転:緩斜面では風圧を避けるクローチング・フォーム(空気抵抗を減らすための低い姿勢)をとり、中斜面では体の上下動を大きく使い、急斜面では体の上下動を少なくして脚部運動を使って滑る。

スーパー大回転:ハイスピードでのターンコントロールが要求されるので、筋持久力の必要な競技である。

滑降:歴代の滑降チャンピオンを見てみると、コースで最大のスピードの出る所で、人一倍クローチング・フォームを確保して滑り抜くテクニックと勇気のある者が勝者となっている。

ちなみに、「大回転」と「スーパー大回転」については、名前がややこしいが、なぜこのような名前になったのだろうか?

歴史的には「滑降」と「回転」があり、その後、「滑降と回転の間の競技があってもよいのでは?」という機運が高まり始まったのが大回転。スーパー大回転はその後、「大回転よりもスピード感のある競技も作ろう」といった感じでできたのだそう。
歴史的に後の方にできたので、「大回転」の後に「スーパー」を付けることで競技名として確立したあたり、ドラゴンボールにおけるサイヤ人とスーパーサイヤ人の関係に似ていなくもない気もする。

ちなみに、「回転」という競技名は、ターンをしながら斜面をすべる実際の競技のイメージとはちょっと違う気がする。

この競技は英語で「スラローム」と呼ばれているのだが、競技が日本にやってきた当時、「スラローム」に該当する日本語がなく、色々検討した末、「この競技はターン(turn)が大事だから」ということで、「ターン」に該当する日本語として「回転」という名前が競技名として選ばれた、という経緯があるのだそうだ。

日本ではあまりなじみのないアルペン競技だが、世界的に見れば冬季オリンピックの花形競技のひとつ。これだけ知っていれば4年後のソチオリンピックで楽しめること、多分うけあいである。
(珍満軒/studio woofoo)