その日本の中でも、一際醤油と馴染みの深い土地がある。それは、千葉県野田市。ここには、見逃せない“醤油スポット”がいくつかあるそうだ。そこに、今回は遊びに行ってきました。
まず、「野田市」駅に降り立った途端、本当に醤油くさい。比喩表現じゃなくて、本当に醤油の香りがするのだ。
そんな醤油の匂いに包まれながら向かったのは、駅から歩いてスグの所にある「もの知りしょうゆ館」。この施設は、キッコーマン野田工場に隣接してあり、工場見学はもちろん、小学生を含む団体なら「しょうゆづくり体験」もできるという(要予約)。
「しょうゆづくり体験」では、まず、醤油ができるまでをわかりやすく解説するスライドショーを見せてくれ、ここで様々な醤油トリビアを教えていただける。
続いては、蒸した大豆と炒った小麦と麹菌を混ぜてできる“しょうゆ麹”を見学。これに食塩水を加えると“もろみ”になり、それを半年間熟成させたものを布に入れる。
その次が、お楽しみだ。
味わってみると、それぞれ香りがハッキリと異なるし、味だって違っている。個人的には「生しょうゆ」に少し淡白な印象を持ったが、しょうゆに火をくわえると、色・味・香りを整える効果があるそうだ。
この後は工場内を見学。約11万本分のしょうゆ麹をつくる部屋、2800メートルの布にもろみを入れた上から最大2000トンの圧力でもろみをしぼる部屋、などを見て回る。
最後は、館内にある「まめカフェ」を訪問。ここでは七輪でせんべいを焼き、しょうゆを塗った“しょうゆせんべい”をいただける。他には「しょうゆソフトクリーム」なんてメニューもあり、これも美味!
この「もの知りしょうゆ館」、なんと入館は無料。ブラっと来て気軽に楽しんで、帰りはおみやげに醤油を持たせてくれるというから、やみつきになってしまいそうです(通常の見学コースでは、「しょうゆづくり体験」はできません)。
続いてお邪魔したのは、イタリア料理レストラン「コメ・スタ」。ここが、普通のレストランではない。
このようなメニューを扱うようになったのはいつからなのか? きっかけは? その辺をレストランに直接伺ってみた。
「当店は92年にオープンしました。当初の1年間は本格的なイタリア料理のみだったんですが、あまりお客さんも来なかったんです。そこで『野田ならではの料理を作ろう!』と、お醤油を前面に押し出し、93年に開発したのがもろみを使った『野田市のピッツァ』(1,450円)です。
このレストランの社長である渡邊さんはキッコーマングループの元社員。その経歴を考えれば、レストランがこういう方向性になったのは、自然の成り行きなのかも。コメ・スタならではのイタリア料理を味わうために都内から来るお客さんも多いそうです。
それにしても、接客が至極フレンドリー。当日は、いきなりスタッフが優雅な歌を歌いながら店内を闊歩するのだが、その歌詞をよく聞いてみるとおかしい。「野田の醤油は日本一 日本一なら世界一 世界に広がるソイソース!」。
実はこの曲、CD化されている。タイトルは「SOY SOY おしょうゆSONG!」。曲中のパーカッションには醤油樽が使われており、詞も演奏も、これでもかの醤油づくし。
肝心の味だが、日本人なのだから口に合わないわけがない。当日は「もろみパスタ」と「豚バラ肉のもろ味焙り焼き」、「ロールケーキ」をいただいたのだが、和洋折衷の最高の形となっている。「ロールケーキ」なんか、甘いものに塩味を入れると相乗効果でもっと美味しくなる。初体験の感覚でした。
実は、キッコーマンの前身は「野田醤油」という会社。まさに、野田は醤油のまちなのだ。コメ・スタの渡邊社長いわく「野田市民には血じゃなくて醤油が流れている」。
野田市民の体に流れる醤油を体験したい方は、ぜひ途中下車してみてください。
(寺西ジャジューカ)