自分も含め、「ひどい方向オンチなのに、なぜか人に道を聞かれやすい」という人はけっこういるもの。

自分にわからないものを他人に説明なぞできるわけもなく、頭を抱えてしまうのが常だが、そんなひどい方向オンチの人にすら「これならわかる!」と思える説明をしてくれる人というのも、ときどきいる。


たとえば、方向オンチの彼女や奥さんを持つ彼氏・ダンナさん。方向オンチの彼氏や夫を持つ彼女・奥さん。方向オンチの友人・同僚を持つ人など。
日頃、方向オンチの人に道をよく聞かれ、説明し慣れている人というのは、「どこでつまずくか」という方向オンチ的発想がわかるだけに、非常に的確な説明をしてくれることが多い。

では、どうすれば、わかりやすい道案内ができるのか。「方向オンチの人」慣れした人たちに、その説明のコツを聞いて、以下にまとめてみた。


★方角でいわず、「右」「左」が基本方角で言ってもわからないので、「右」「左」「前」「後」で説明する。特に、出発点で間違える人が多いので、バスのロータリー、地下鉄の駅から地上にあがった地点などは要注意。「駅に背を向けて右側に」「○○の建物を左手に見ながら」など、わかりやすい場所から見て、立体でなく、平面で片付く説明を。
「方向オンチの人は、『上る道』『下る道』にこだわる人も多いので、道を頭に思い描きながら、上り坂下り坂で説明することも」

★「『○メートルぐらい』はダメ」
そもそも距離の感覚がない人が多いので、「○メートルぐらい進んで」などのように数字を出すと、かえって混乱する人も多い。説明する人との間柄にもよるが、ときには「ずーっとまっすぐいって」「ちょっとで曲がって」などといった、あえて感覚的・抽象的な説明をしたほうが通じることもある。

★最短距離の道ではなく、わかりやすい大通りで説明する
「方向オンチの人に限って、勝手に『こっちのほうが早いかも』とショートカットしがち。
紛らわしいカーブ、斜めに走る道などは無視して、ちょっと遠回りでもできるだけまっすぐの大通りで説明する」

★「○○通り」という名前に頼らない
“○○通り”という名前で説明しても、わかった顔でスルーしてしまうことが多いので、通りの名前に頼らずに説明する。「大きい道で曲がったら、つきあたりが○○通りになるけど」と、補足的に使う程度。

★「店」を目印に説明する
方向オンチの人は、ヘンな看板や聞いたこともない建物などを目印にしていることがある。そのため、意外と通じやすいのは、コンビニや銀行、パン屋など、「店の名前」や看板。「○○のコンビニを過ぎると△があるから」など。ただし、店が移転していたりすると、どうしようもないことになることも。


★「高架」に注意
方向オンチの人が間違いやすいのは、「立体交差」や「高架」など。そのため、「高架をくぐらずにまっすぐ」「高架をくぐって」といった説明が必要。

方向オンチの人を熟知した人たちが口をそろえて言うのは、「感覚的な説明のほうが通じる」ということ。悔しいけれど、確かにそうかも……。
いっそ、感覚的説明の地図があれば良いのに……なんて馬鹿げたことを考えてしまうのでした。
(田幸和歌子)