「10、20代の若者が自分のやりたいことや夢に向かって突き進めない社会、生活に縛られるジレンマの時代」と語るのは、下北沢で月3000人は訪れるという話題の店『農民カフェ』のオーナー、和気優さん。ミュージシャンでもある和気さんは、10年間、全国の少年院を慰問ツアーする中で、若者たちのジレンマに行きついた。それで、立ち上げたのが『農民プロジェクト』。その真意について聞いてみた。
「うちにバイトがしたいと言ってくる若者は、やりたいことはあるけれど、生活費を稼ぐために、それを後回しにしなければならない。今の世の中は、夢を追いかけたい世代が貧乏なのに、金も権力もあるリタイアした裕福な世代のために貢がなければいけない図式がある。その社会のしくみの奴隷になるんじゃなくて、自分のポジションを築いてほしい。自分の働いたお金は自分に投資してほしい」
そのために、具体的に、和気さんは、東京から100キロ圏内にある、栃木の益子に2万坪の農地を借りて、そこに、田畑と宿泊施設を設けて、米と野菜を作り、自給自足する場を提供するという。
そこに、音楽や絵や写真や……、さまざまなジャンルのクリエーターを集めて、作品を作りながら、自分たちの食べるものは自分たちでまかなうシステムを作る。また、作った野菜は、下北沢の店舗で、食材として、メニューとして、消費されるというサイクルができる。
自分たちで育てたものは自分たちで消費する完全自活をめざす。
作る野菜は50種類以上、すでにプロジェクトは進んでいる。田舎で生産して、都会で消費する。それを東京圏内、大阪圏内と点在させていき、5年後には、日本各地にそうした自活ベースを作る予定だ。
「そうしたら、それを拠点に、ミュージシャンはツアーができる。泊まれるし、飯も食える。ライブできるスペースもある。アーティストなら個展をやってもいいし」
そして、その流れをいずれは、海外にも発展したいという。…
