カップラーメンやカップうどん・そばなどは、フタにも容器にもたくさんの情報が書かれていて、実に賑やか。
ところが、カップ焼そばの場合、容器を包んでいるフィルムに情報が印刷されていて、フィルムをはがすと突然、何も書かれていない無地の白い容器が出てくることが多い。
これってなぜなのか。

しかも、フィルムをはがしてすぐに捨ててしまう慌て者の場合、「カロリーってどのくらいだっけ?」とか後になってチェックしようと思っても、すでにゴミ箱の中……なんてこともある(これは自分のせいですが)。
なぜカップ焼そばの場合、容器にではなく、それを包むフィルムに印刷するものなのか。湯切りの関係上だったりする?
「昔ながらのソース焼そば」「焼そばバゴォーン」などでおなじみの東洋水産に聞いてみた。

「カップ焼そばのシュリンク包装に印刷がされたのは、2000年2月からです。業界でも、当社の商品が初めてでした」
シュリンク包装とは、食品、ビデオパッケージなどの外装フィルムのこと。
フィルムを熱収縮させることで、容器の形状に沿ってピタッと密着させているのが特徴だ。

それにしても、なぜシュリンク包装に印刷をすることになったのだろうか。
「以前のカップ焼そばは、表示はフタ部分だけにしておりました。それは、ラーメンやうどんのカップ容器と違って、カップ焼そばの容器の側面には、直接印刷するのが難しかったからです」

ラーメンやうどんのカップ容器との違いは、どこにあるのだろう。
「普通のカップ容器の場合、内側がざらざらで、外側がツルツルした滑らかな表面になっています。しかし、カップ焼そばの場合は、ソースをからめるときの混ぜやすさを考慮して、内側がツルツルで、外側がざらざらの面というように、逆の仕様になっております。
そのため、外側のざらざらとした表面に、印刷がしにくいのです」
なるほど! 今まで全然気づかなかったが、カップ焼そばの容器の場合、ラーメンやうどんのカップ容器とは、裏表が逆になっているんですね!
そこで、シュリンク包装に印刷することになったそうだが、シュリンク包装にはこんなメリットもあるという。
「シュリンク包装に印刷することで、印刷スペースが1面から6面に拡大し、デザイン性が向上するとともに、増えていく商品表示に対応し、より詳しい情報を見やすく配置できるようになりました」

ちなみに、東洋水産の商品では、四角いカップ焼そばのもののみシュリンク印刷になっているが、他社の商品の中には、丼型カップ容器でシュリンク印刷をしているものもあるそうだ。
そういえば、シュリンク包装には他に、部分包装(シュリンクラベル)のペットボトルなどもあるけれど、あれもやはりフィルムをはがすと、ただの無地の透明容器になる。

カップ焼そばの無地の容器は、ラーメンやうどんのカップ容器よりも、ペットボトルなどの包装の仕方に近いのかもしれません。
(田幸和歌子)