CMなどを観ていて、ときどき気になることがある。
それは、「朝の歯磨きは、起きてすぐするのか、朝食後にするのか」ということ。


自分自身は、歯磨きは基本的に毎食後にしているのだが、調べてみると、朝食のときの歯磨きだけは「食後」と「朝起きてすぐ」と、人によって意見が分かれるようだ(既出コネタもチェック)。

歯のためにはどちらが良いの? 渋谷区幡ヶ谷の坪田歯科医院・坪田泰幸院長に聞いた。
「歯を磨くことについて、『食べカスをとる』というイメージを持つ人が多いですが、本当は、歯ブラシはプラーク(歯垢)、つまり細菌のかたまりをとるためにするもの。プラークと食べカスは違うんです」

1日に歯磨きする回数は1~3回が一般的のようだが、歯科医や歯科スタッフには「毎食後と寝る前にもう一度=4回」という人も多いそうで、なかでもいちばん大事なのは「寝る直前の歯磨き」だと言う。
「寝ている間は唾液の分泌量が大きく減少しますが、唾液には殺菌作用があるため、唾液が減少すると口の中の細菌の数がどんどん増えてしまうんです。だから、寝る前に少しでも細菌の数を減らすことが大切なんですよ」
そこで気になるのが、朝の歯磨き。
朝食前と後とでは、どちらが良いんでしょう?
「朝起きたときがいちばん口の中が汚れているから、起きた直後に歯磨きするのは良いことだと思います。また、食事で食べカスができるから、朝食後に磨くのも良いですよね。朝食前か朝食後かは、歯科医によっても考え方が違いますし、一概には言えません」

つまり、少し面倒くさいけど、朝起きてすぐと朝食後とどちらも歯磨きするのが理想なのだろうか。
「朝食前と後、両方磨いているという人も患者さんには多いですが……実は最近は磨きすぎの人も多く、それも問題なんですよ」
たくさん磨けば良いわけでもないってこと!?
「食事をとると、口の中のPHが酸性に傾きます。なかには、朝食がフルーツとヨーグルトだけなんて人もいますが、酸性が強くなっているときに歯をガシガシこすって磨くと、表面が削れて溶けてしまい、『酸蝕』になるとも言われているんですよ」

かつては「理想の歯磨きは3:3:3(一日3回、食後3分以内に3分間)」と言われていたが、近年は変わってきているらしい。
「最近は、歯をいためる危険性もあるため、食後30分は歯を磨かないほうが良いという意見もあります。
また、本当は1日1回歯磨きを“完璧”にできれば良いのですが、歯科医でも歯科衛生士でも、完璧にはなかなか磨けないもの。そこで、1日3回やることで足りない分を補う意味があるんです。あとは、1日1回十分な時間がとれるとき、できれば夜寝る前にきちんと磨くことです」

単純に「たくさん磨けば良い」とも言えないし、個人の生活リズムなどによっても異なるため、「朝食前・朝食後のどちらが良い」とも言いきれないそうだ。いちばん大切なことはどんなこと?
「個人によって歯磨きの指導法は異なるもの。できれば、自分の生活習慣や生活リズム、口の中の環境なども考慮し、自分に合った方法をアドバイスしてもらえるかかりつけの歯科医を持つことがベストだと思います」

歯磨きは大切だけど、「磨きすぎ」はNG。一度自分に合った磨き方を相談してみては?
(田幸和歌子)