そろそろ、アルコールの季節がやって参りますよ。忘年会→お正月→新年会と、否応なしにお酒を飲む機会が激増するシーズンが! 楽しみだ。

……とは素直に言えないのが、辛いところ。気の合わない同僚とも席を共にしなければいけないだろうし、帰ろうとするも「帰らせねえよ!」と妨害を喰らう場合だってあるだろう。
思うに、特に女性が心配だ。力づくで、2次会に連行されたりして。それらのちょっかい、なんとかかわす方法はないものなのだろうか?

あるんです。ピッタリなのが、あるんです! 防犯に関する講演会やセミナーを開催している“安全インストラクター”武田信彦氏が考案した「ガールズ☆護身術」を、女性の皆さんに是非とも覚えていただきたいのです。


まず、この護身術が他のものとはかなり異なることをお伝えさせてください。
「『ガールズ☆護身術』は護身術なんですが“殴る”、“蹴る”がありません。基本的に、相手に『痛い!』とは言わせません」(武田氏)
自己防衛のための振る舞いがきっかけで被害者が加害者になってしまったら、元の木阿弥じゃないですか? そういう意味でも、自己防衛してくれているようだ。

では、もっと詳細な説明を。この護身術で想定しているのは、“軽くピンチ”な場面だそう。飲み会で肩を掴まれて次の店に誘われた際や「コッチ、来いよ」と腕を掴まれた時、「じゃ、忙しいんで……」とスルリとかわしてみせる。
そんな日常に使えるテクニックが、この護身術には盛り込まれているとのこと。

どうですか。この護身術、気になりません? そこで都内某所で開催された「ガールズ☆護身術」のワークショップに、見学に行って参りました!
ちなみに、ワークショップの流れについて。基本的には、以下のようなものになるそうです。
「前半は、相手に迫ってこられないようにする“予防力”をゲーム感覚で身につけていきます。そして後半では、相手を怒らせずに自分の身を守る方法をエクササイズ感覚で学びます」(武田氏)
そんな前情報を踏まえつつ、ワークショップはスタート。
当日は約10名の女性が参加しており、年齢も20~40代と幅広い。皆さん、スキルを身につけて行ってくださいね。

ではまず始めに3人1組になり、みんなで両手を重ね合わせながらグルグルと辺りを行き来します。さぁ、勝手がわかったかな? じゃあ、ステップアップ。次はグループの中の2人が目をつむり、残りの1人が目を開けたままの状態で辺りを行き来します。周囲には椅子や壁などの障害物があるけど、それらに接触してはいけない。
目を開けた1人が「こっちに来て」、「そこ危ない!」など声をかけながら、2人を誘導して安全を確保してあげるのだ。
そんな危なっかしい状況の中「失礼しま~す」、「ハックション!」、「いらっしゃいませ~」と通り過ぎる、武田氏。危ないよ! しかし、これは敢えての意地悪みたい。よく考えたら、上記の掛け声は街中で当たり前に聞こえてくる騒音でもある。要するに、これは日常における“予防力”を意識したゲームであります。

続いては2人1組になり、お互いが両側から特製のバーを人差し指だけを使って持ち上げるエクササイズ。
できましたか? では、続いてのエクササイズ。バーをお互いの間に置いて、その距離のままで相手の肩に手を乗せるポーズをしてみてください。……しかしどのグループにも、相手の肩に手が届く人はいないようです。
実はこのバーには90センチ~1メートルの長さがあり、不審者を相手に対処できるギリギリの距離に相当するという。なるほど。この距離感を体で覚えれば、重大な危険を回避できるかもしれないな。


さあ、ここまでが前半戦。いよいよ後半は、実践的なスキルを身につけていきます。……これが、凄いのです。列挙すると
・相手に手を掴まれた時に、手を離させる動き(手首をグル~ンと回せばスポっと抜けてしまう)
・相手に手首を掴まれた際、手を離させる動き(上方に手を持って行けば、相手の手は付いてこれない)
・相手に肩を組まれ連れて行かれそうになった際、脱出する動き(組まれた手を離してクルリと回ると、体は自然にスポっと抜けてしまう)
・首を絞められそうになった時に防ぐ動き(手を挙げて振り向くと、防ぐことができる)
・羽交い絞めされた時、スカす動き(羽交い絞めされながら自分の位置を見つけて体勢を変えると、相手の重心が崩れて倒れる)
などなど。これらの動きを駆使すると、本当に魔法みたいに危機を回避できてしまうんです。いや、文章を読んだだけじゃ信じられないでしょうけれど……。是非、ワークショップに参加してください!

そんな「ガールズ☆護身術」への反響について。
「一般の方はもちろんですが、客室乗務員や看護をなさっている方による受講も多く、日常で実践して『役に立った!』というご報告も受けています」(武田氏)
他にも女子高生やPTA、ご高齢の女性といった幅広い層を対象に、このワークショップは開かれている。女子高や小学校という場での開講実績もあるそうだ。

「“逃げる”という行為を格好悪く思う人は多いですが、危険な場では戦うよりも逃げるのが一番です」(武田氏)
よく考えたら、相手にダメージを与えるほどの攻撃技を身につけ、それをいざという時に駆使するのは、かなりのハードルである。

要するに最も効果的なスキルを、このワークショップでは体得することができました。相手を怒らせずに、それでいて自分の安全は確保。まさに、護身術です。
(寺西ジャジューカ)