カメラは肉眼で見た景色、対象とちょっと違って撮れるから楽しい。それがカメラの魅力のひとつだと思っている。
デジタルの時代はとくに被写体の色を変えて撮るといったことが簡単にできるようになった。そこでまたちょっと変わったことができるカメラがある。それは……。

ノーマルとチルトの2つレンズ搭載トイデジカメ『ボンザート・アンペル』(GLOBAL・DC)で、チルトレンズはピントの合う範囲を極端に狭くしてあり、被写体をミニチュア風に撮れる。また、スタンダード/ビビッド/白黒/セピア/リフレッシングの5種類のカラーモードがあり、それぞれ雰囲気のちがった写真になる。

撮り方としては、上部のフタを開けて液晶画面を覗き込みながら被写体を確認してシャッターを押す。
その際、ノーマルとチルト、どちらで撮るか、カラーモード、静止画フォーマット「ノーマル(4:3)/スクウェア(1:1)」のどれを選ぶか、より個性的なおもしろい写真を撮れるよう自分で判断するのだ。この判断が意外と迷うのだが……。

同製品を実際に使って撮影してみた。
今回はフォーマットはスクウェアで、チルトレンズを中心に撮ることにした。普段使い慣れたカメラとは違い、上から覗き込むというスタイルに違和感のある人がいると思うが、低い位置にある被写体を撮るのが楽というメリットがあるので、慣れると結構重宝する。付属のストラップで首にかけて持ち歩きながら、気になった被写体をパシャパシャ撮るわけだが、カメラの外見が個性的でおしゃれなので、街中で使っているとちょっと注目される。


夢中に撮っているとありがちなのは電池切れ。だが、同カメラはアルカリ単3電池×3本なので近所のコンビニですぐ買えるので便利。また、記録メディアもSDカードだから、今まで使っていたコンパクトデジカメなどから流用できるので経済的だ。ピントは固定式になっており、とにかく被写体とフレーミングを決めたら迷わずシャッターを押せばいい。一眼レフのようにシビアにピント合わせをしてレンズの画角を選ぶといった必要がない。トイカメの面白さはやはりこのように気軽に撮れることだ。


ところで、個性的なカメラフォルムというのはかさばるものだ。薄型カメラのようにポケットに入れてもかさばらないのとは対照的に、小さいクセにポケットに入れると大きく膨らんでしまう。なので、目立つようだが常にぶら下げて持ち歩くのがベターと感じた。あと、ふたつのレンズ、どちらを使うかというのが一番悩ましいのだが、迷い過ぎるときは「今日はチルトの日」と割り切って撮影するといいかも。実際、撮影した写真はあとでパソコンの画面で確認してみないと出来栄えはよく分からないから。

出来上がった写真を見ると、チルトで撮影したものは中央にピントが合っている以外はボケており、これがチルトの効果。
肉眼ではあり得ない光景に、とても不思議な印象を覚えた。ただ、端にメインの被写体がある場合はチルトだとボケてしまってかえってよくない結果になる。なるべくたくさん撮って、撮影のコツをマスターしたいところだ。

チルトを気軽に体験してみたい人、ボンザート・アンペルを使ってパシャパシャ撮ってみよう!
(羽石竜示)