「三人寄れば文殊の知恵」という言葉がある。“一人では良い考えが浮かばなくても、三人寄れば素晴らしい考えが出てくる”という意味の諺である。

ガラッと話題を変えて、おばちゃんについて。おばちゃんが47人集まると、どうなると思います? ……答えは、こちら。大阪のおばちゃんが47人集まったアイドルグループ「オバチャーン」が、妙な話題となっているのです。

ちなみに彼女らをプロデュースしているのは、大阪の広告業界で活躍するクリエイター4人で結成した「プロジェクトオバチャーン」なるユニット。
「大阪をアピールするCMのコンペがあり、そこに向け“大阪のおばちゃん”をコンセプトにした映像を制作したのがきっかけです。面白いので、アイドルグループとしての活動をスタートしました」(プロジェクトオバチャーン・日座氏)
上記のCMに起用されたおばちゃん・舟井さんは、現在「オバチャーン」のセンターを張っており“オバチャーンレッド”の愛称で頑張っている。……っていうか、何ですかそれ?
「メンバーは47人なのですが、メインメンバーの7人を『神セブン』と名付け、それぞれを色分けしました」(日座氏)
「神セブン」ってまるでAKBみたいだし、カラーによる色分けはももクロみたいだし、他アイドルの要素をどんだけ盛り込んでるんですか!
「メンバー数47人も、AKBを意識しています。48人から一人足りない位が、丁度いいかなと(笑)。また四十七士ともかかっていますので、『アイドル界に討ち入りするぞ』みたいな」(日座氏)
しかしですねぇ、AKBのグループ内における座席取りって、無茶苦茶シビアじゃないですか。まさか、そこまではあやかってないですよね?
「いえ、つい最近もピンクが卒業し、別のおばちゃんが新しいピンクの座を射止めましたよ」(日座氏)
前のピンクが脱退したのは、オバチャーンがパフォーマンスするヒップホップ調の楽曲に「足が付いて行かない」と泣きを入れたのが理由だそう。
「ですので、下からイキが良いおばちゃんを抜擢しました。虎視眈々と神7を狙っている子は多くて、選抜メンバーもウカウカしていられない状況です」(日座氏)

ところでこんなイキの良いおばちゃんは、一体どこから発掘されたんでしょう? それも、47人という大人数を。
「おばちゃんばかりがして所属しているエキストラ事務所が岸和田にあり、そこへ話を持ちかけて集まったメンバーばかりで構成されています」(日座氏)
要するに、勘の良いおばちゃんばかりが集まっている。よって、衣装はほぼ自前。コンセプトを瞬時に理解し、“大阪のおばちゃん”の記号的アイテムであるアニマルプリントを多用したコスチュームを自身で用意しているのだ。

そんな彼女たちの活動理念として、真っ先に挙げられるのは「地域活性化」。町おこしイベントに出演しては、飴ちゃんを配ったり、人生相談を行ったり、おばちゃんの魅力をまき散らしている。
「イベントに連れて行くと、道行く人に勝手に喋りかけてしまうんですよ。『アンタ、どこ出身なん?』とか『兄ちゃん、カッコいいなぁ』って(笑)。おばちゃん特有のコミュニケーション力ですよね」(日座氏)
旗印は、「明るくない世の中を元気にしたい!」。事実、オバチャーンのいる場所は楽しい空気となり、街と人を元気にしているようだ。

もちろんイベントでは、飴配りや人生相談ばかりをしているわけじゃない。彼女たちは『オバチャーンのテーマ』という曲も発表していた。前述の通り、同曲はヒッピホップ調である。
「可愛い路線だと、気持ち悪さばかりが先行してしまいますからね(笑)。人を元気にさせるため、パワフルで格好いい方面に意識的に進みました」(日座氏)
しかし、それも裏腹。なぜなら、確実に皺寄せが来ているのだから……。
「おばちゃんの物覚えが悪いんですよ。歌詞もダンスも、覚えが悪くて。いつもヒドいんです(笑)。まぁ、それも味というか、皆さんに笑っていただけるからいいんですけどね」(日座氏)

そんなオバチャーン、大阪では確実に知名度が上昇しており、イベントで姿を現すと、それだけで歓声が上がることも多くなっている。
「活動も忙しくなり、センターの舟井さんはコンビニバイトのシフトを減らしたそうです」(日座氏)
これぞ、嬉しい悲鳴。「お呼びが掛かれば、世界のどこへでも赴く用意がある」と、日座氏は語っている。

「会いに行けるアイドル」という言葉は聞いたことがあるけど、こちらは「絡んでくるアイドル」。だって、おばちゃんは勝手に喋りかけてくる人種だから。
そして、いつしか世の中全体に元気を与えているはずです。
(寺西ジャジューカ)