最近、あるコンサートを観に行きました。それこそ、スタジアムクラスの。
当日は会場の最後方付近から楽しんでいたのだけど、視線が行くのはモニターばかり。ほぼ、本人には目が行きません。
これ、残念ですよねぇ。仮にも自分が応援しているアーティストが、すぐそこにいるってのに。双眼鏡でも、持って行けば良かった。
……あっ、だから小型双眼鏡を「オペラグラス」っていうのか! オペラを観る時に使うからこそ。
今、初めて気付きました。不意に降りてきた。

ところで今回紹介するのも、オペラグラスなんです。しかし、集約されたのは日本の技術力。だからこそ、このオペラグラスを『カブキグラス』と呼んでください!
ちょっと、画像をご覧いただきましょうか。フレームは歌舞伎の隈取りをイメージしており、それでいて西洋のファッションにもマッチするようデザインされている。
しかも双眼鏡部分の左右の筒をつなぐブリッジは、兜をイメージさせるようなフォルムに。
「京都のお寺を何度も観に行き、デザインを研究しました」
そう語るのは、『カブキグラス』を開発したサンテプラス株式会社・代表取締役の坂田氏です。

では、この『カブキグラス』を開発したきっかけについて。坂田代表が大手電機メーカーに務めていた頃、仕事と研修を兼ねてロシアで2年間の生活を送っていたそうです。
現地ではオペラを観る機会も多く、そんな中たまたま良席を入手した某日。運良くその席から観劇すると、そこからは演者の表情が把握でき、遠い席とは感動がまるで違うことに初めて気付いた。
感激! 「表情や表現をもっと近くで見たい」と思うようになり、そこからは自分に合ったオペラグラスを探し始めるようになる。
しかし、なかなか満足するものに出会えない。「手ブレ」、「手が疲れる」、「拍手できない」、「クリアに見えない」、「まつ毛が邪魔になる」、「ピント調整が面倒くさい」、「視界が狭い」などなど、不満点は数知れず……。

ならば、自分で作ってしまおう! 決心するも、そこから開発には約2年を要す。理想の完成形に向け“日本の匠"との出会いがいくつもあり、しかして遂に「究極のオペラグラス」が完成!
日本の中小企業7社の技術力が結集された純国産でありつつ「日本発祥の世界向け商品にしたい」という思いを込め、『カブキグラス』(英語名:KabukiGlasses)と命名したそうだ。

では、その特長について。
色々とあるのだが、中でも最大のセールスポイントは「自然にピント調整」でしょうか。
オペラグラスって、対象との距離によってピントを合わせる必要があるじゃないですか。だから急に近くの物を見ようとすると、ピンボケしてしまう。でも『カブキグラス』なら急な状況にも対応し、即座に自分でピントを合わせてくれる。
「レンズとプリズムの配置等で調整し、光学設計上で可能にしています」(坂田代表)

そしてもう一つ、秘密がある模様。『カブキグラス』に使われているレンズ、ムチャクチャ明るいそうなんです。

「究極のものを作りたかったんで、全てのレンズに光学ガラスを採用しているんです」(坂田代表)
一般のオペラグラスの場合、レンズをプラスチックにしてしまうことが多いらしい。しかし、そこをこだわった。光学ガラスを使うことによって、まるで裸眼で見ているような感覚が可能となったそうなのだ。

これ、興味深いな……。
というわけで、実際に『カブキグラス』を取り寄せました! どれ程までにナチュラルな感覚を味わえるというのか。
さて、手に取るとそれだけで新鮮。
だって。オペラグラスなのに眼鏡みたいに耳に掛けられるんです。手がフリーになるので、拍手したりサイリウム振ったりが自在なわけか……。
そして、ピントについて。これも、ちょっと革命的です。わざと頭を振って視界の方向をアッチコッチに持って行ったのですが、瞬時にクッキリ対象物を捉えてくれる。前後不覚になりません。
しかも、視界がクリア! “遠くを見るための眼鏡"くらいの表現が近いかもしれない。手軽な感じも、驚きでした。
ちなみに『カブキグラス』の倍率は、4倍に設定されているとのこと。見たいものまでの距離が4分の1になるイメージです。

そんなこの『カブキグラス』は同社の直販サイトならびに日本橋三越本店・本館4階スポーツコーナーか大和香林坊店・6階インテリアコーナーで購入することができる。価格は31,500円(税込み)。

「名は体を表す」というが、ここまで“日本発世界"を体現しているツールはないと思う。日本人のキメ細かさが、そのまま優れた実用性につながっています。