頭が痛い時、虫に刺された時、胃がもたれている時、あなたは“病院へ行く派”ですか? それとも“ドラッグストアへ行く派”ですか?

病院で順番を待つ時間さえ惜しいと感じる忙しい読者の大半はそんな時、ドラッグストアへ直行するだろう。私もドラッグストアへ行く派である。
売り場から薬を手にとってパッケージに書いてある“すぐに効く”という言葉を完全に信用し、何の躊躇も無くレジへ向かっていた。

医薬品だけではない。シャンプーや化粧水、カビ取り洗剤もパッケージの謳い文句とCMによる知名度の高さ、大手メーカーから発売されているという安心感から選んでいた。

そんな安直な行動に待った!をかけた本が『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』である。

この本はテレビCMやスポンサーの圧力抜きの良心的な市販薬ガイドブックである。発売3週間で早くも5刷とベストセラーになっている話題書らしく、薬箱のパッケージの言葉を鵜呑みにする私のようにストレートなメッセージを素直に受け入れる読者にも安心して薦められる。


例えば、今やCMでもお馴染みのノンシリコンシャンプー。シリコンってそんなに髪に悪影響を及ぼすのか?

「シリコンは無害です。まず、アレルギーすら起こしません。……シリコンはシャンプーに使われるあらゆる成分で最も高額な素材だったりします。……ゆえに、安物商品ほどシリコンを入れると原価率が上がってしまうためシリコンを悪者にして原価を下げるという一挙両得を狙う思惑が見え隠れしますね(本書抜粋)」

本書ではノンシリコンシャンプーを科学の視点で考察しているが、他にもハッとする情報が満載であった。
実際に市販されている医薬・生活用品の名前を出して解説してくれている。


■よく効く頭痛薬の選び方
■多成分配合はむしろ危険な風邪薬
■あの有名薬はただの殺菌剤?胃腸薬・最先端事情
■虫刺され薬の基準の選び方
■空間除菌消臭剤の正体
※本書目次より抜粋

本書の担当者から出版の狙いを伺った。
「食品の安全性については書籍も情報も多いものの、日常生活に密着した市販薬・生活用品についての書籍はほとんどありませんでした。もちろん深刻な症状のときは病院に行ったほうが良いのですが、忙しいときに市販薬の助けを借りることも多いですよね。自分の体質やどのような効果を得たいのかによっても選択肢は大きく変わってきます。市販薬ガイドブックである本書を読んでおけば、ドラッグストアでもう迷うことなく最適なものを見つけられます。薬だけでなく、効果が劇的に上がるそうじ用品など生活用品についての解説も目からウロコ。
とくに、頭痛薬や胃薬、ばんそうこうや湿布薬まで網羅した、家に置いておくべき常備薬ベスト10は必見です!」

頭痛薬にしろ、湿布薬にしろ、一つ取ってもたくさんの種類の商品が並んでいる。その中で一番自分に効果的なものを選べればお金の無駄を省くことができる。また、選択を誤ってさらなる症状を引き起こすことも未然に防げるだろう。担当者の言う“常備薬ベスト10”が家にあると心強い。

2014年の改訂後、薬の取り扱いが大きく変わっており、本書ではお薬用語も解説してくれるので、特に気にせず薬を選んでいた読者(私も含め)は要チェックだ。

まずは今自宅で使っているシャンプーを確認してほしい。
そのシャンプーはぼったくり商品かもしれない。(boox/茶谷)