ヤギやヒツジを使った除草作業が最近話題だ。草刈りの手間がかからず、農薬を使わないから地球にもやさしい。
除草用のヤギが食べられてしまうという珍事件が起こったこともあり一気に注目された。

ところで、除草に動物を活用するならヤギとヒツジのどちらが優秀なのか――実際に除草をしようと考えないと浮かんでこない疑問だ。これを真面目に検証した専門誌が発売されていた。

高所に強いのはヤギ


専門誌の「草刈り特集」が超マニアック ヤギVSヒツジで除草能力の強さ検証
Amazon.co.jpの実施する「エコ除草」

動物による除草を特集したのは『季刊地域』。農山漁村文化協会が刊行する雑誌で、「地域の再生」をテーマに各地のさまざまな活動を紹介している。2015年4月発売のNo.21では、「草刈り動物はメチャメチャ頼もしい」という特集に「ヤギVSヒツジ どっちが草刈り能力が高い?」という記事が掲載されている。記事に登場する岡山県赤磐市・岡中山間地域振興組合は、70アールの草刈りを動物にすべて任せているという。


ヤギとヒツジをどちらも飼っている同組合の代表はその違いについて、
「ヤギは高いところが好きなので、傾斜地の除草はピカイチ。背の高いススキやセイタカアワダチソウだって、立ち上がってガンガン食べる。でも、平地は地際からきれいに平らげるヒツジに軍配ですね。それぞれ得手不得手があるみたい」
と記事中でコメントしている。

傾斜地に強いのはヤギ、平地に強いのはヒツジ、そんな視点でヤギとヒツジのことを区別したことがなかったから新鮮だ。同誌掲載の放牧地の写真を見ると、ヒツジがいるゾーンとヤギがいるゾーンが分かれていて、刈り具合の差が一目瞭然だった。
ヒツジは副産物として毛がとれるため、セーターやネックウォーマーなどにして販売もできるという。

また、ラム肉として売って年間300万円以上の売り上げになっているという、岩手県奥州市・梁川ひつじ飼育者の会の事例もあり興味深い。

さらに草刈り動物を村で飼うときのコツをまとめたコーナーも。ヒツジをリードで「つなぎ飼い」をするときに首つり事故が起こらないようにする方法や、腰麻痺(脳脊髄糸状虫症)を媒介する蚊を寄せ付けない小屋の建て方まで載っていて、かなり実用的だ。

米国では除草用ヤギをネットでレンタル


『季刊地域』で紹介されているように草刈り動物をレンタルするサービスは国内でいくつかあるが、米国ではAmazon.comがこの市場に乗り込んできた。家庭用サービスを提供する「Amazon Home Services」のひとつとして、「Hire a Goat Grazer」を試験的に提供。
ウェブサイト上で郵便番号、草木の種類、フェンスや毒草の有無などを選択すると積もりが出て、ヤギによる除草サービスを受けられる。

Amazon.co.jpでも岐阜県多治見市の物流センターでヤギによる除草を環境に配慮する取り組みの一環として行ってきた。もしかしたら将来、日本でもネットで簡単に除草動物がレンタルできる時代がくるかも?
(副都心太郎)