小学生で肩こりに!? 気をつけたい「子どもの姿勢」と「正しいランドセル選び」

子どもの笑顔って、尊いですよね。もう、望むことは何でもかなえてあげたくなっちゃいます。
「あのオモチャ、欲しい!」「そうか、そうか。スイマセーン! これ、おいくらですか?」みたいな。
そんな可愛いお子さんが、そろそろ小学校へ上がる年頃になったとしましょう。すると、ランドセルが必要になる。やっぱり、本人が望むカッコいいやつ、可愛らしいやつを買ってあげたくるなぁ……。

でも、ちょっと待ってください。
本人のために、もっと重視すべきポイントがあるみたい。7月29日、ランドセルメーカーである「セイバン」が開催した「『姿勢とランドセル』のイロハ」なるイベントへ出席してきたので、その模様を今回はご紹介しましょう。

子どもの数は減っているのに怪我は増えている


まず登場したのは、整形外科医の中村格子先生。JOCで日本代表選手会のドクターを務め、スピードスケートや新体操などトップアスリートの指導や治療にも当たっているプロフェッショナルです。

「最近、子どもの数自体は減ってるんですが、小学生の怪我の数は増えていまして、骨折の数も増えています。小学生で肩こりに悩む子もいますし、高学年になると側弯症(そくあんしょう)の子も増えてきます」(中村先生)

「側弯症」とは、本当は真っすぐな背骨が少し曲がってくる病気だそう。体型が大きくなる=運動能力が上がるみたいなイメージがあるが、決してそんなことないみたい。
それには、原因があります。
「便利になりすぎて運動する機会が減ったり、お母さんが『危ないから』と運動させないようにしていたり……。それらも、原因だと思います」(中村先生)

子どもの姿勢が良いと思っている母は10%以下


ここで、あるアンケート調査の結果を発表しましょう。小学1~3年生の子どもをお持ちのお母さん500人に、セイバンが5月にアンケートを実施。
このなかに、「あなたのお子様の姿勢は?」という質問がありました。結果、「やや悪い~悪い」回答は45.2%に達しています。
逆に考えると、子どもの姿勢を「良い」と思ってるお母さんは10%以下。
9割以上は「普通」~「悪い」なのです。
小学生で肩こりに!? 気をつけたい「子どもの姿勢」と「正しいランドセル選び」

また「体にフィットしていないランドセルを与えるからだへの影響」について、どんな影響があるか「知っている」と答えたお母さんは13.8%でした。残り全員(86.2%)は「知らない」という回答です。
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「これは知っててほしいですねぇ。小学校1~6年の間に体格は大幅に変わり、急激に成長していきます。お洋服や靴は買い換えますがランドセルは途中で買い換えないので、どれくらいアジャストしてくれるものを購入するかが最初のポイントになります」(中村先生)

なかでも、特に小学校1~3年の時期は大事だそう。


「特に小学校3年生くらいまでの間に体格と神経が一番成長しますし、何でも習得できる時期でもあります。自転車を覚える、泳げるようになる、スキーを覚える。この時期に身に付けたことは、一生忘れません。また、非常に早く習得できる時期にもあたります。小学6年以降に何かやらせても、同じスピードでは習得できません」(中村先生)

この時期に子どもたちにしてあげたいことは「しっかり運動させてあげること」「それを阻害しない体にフィットしたものを選んであげること」だそうです。

子どもにさせたい運動とは


ではまず、「運動」にフォーカスしてみましょうか。

「だいたい4歳で片足立ちが、5~6歳になるとケンケンができるようになります。
また、5~6歳で直線を歩く『綱渡り歩き』ができるようになります。ところが最近の親御さんは、お子さんが路肩に乗って歩くと『危ないからやめなさい!』ってやらせないんですね。子どもの“やりたい時期”はそれを覚える時期なので、ストップさせないでドンドンやらせていただきたいなと思います」(中村先生)

というわけで、実践編に突入。当日に集まった子どもたちが、「綱渡り歩き」に挑戦します!
その前に、「綱渡り歩き」を説明しましょう。会場に引かれた線の上に立ち、手を開き、なるべくかかととつま先が同じところに来るように心がけて歩きます。片方にヨロヨロと行かず、最後まで歩けるか!? できるかなぁ……。

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できた、できた。上手、上手! かかととつま先も、ピッタリくっ付いてます。

「学校に入ると平均台を使い、高いところを歩くお勉強があります。体育の授業でありますよ!」(中村先生)

フローリングや畳を利用すれば、自宅でも簡単にできる運動ですね!

「これができたら、今度はもうちょっと難しい応用編に行こうかな~。今度はこうやってできるかなぁ? これ、結構難しいんだよ」
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頭の上で両手を合わせた体勢での「綱渡り歩き」。これも、みんなできたみたいです!
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続いては、「片足バランス相撲」なる運動に挑戦! まず片足立ちになり、その状態でハイタッチする。当日はお子さんが片足立ちになり、座っているお母さんとハイタッチしながら1分耐えました。
小学生で肩こりに!? 気をつけたい「子どもの姿勢」と「正しいランドセル選び」

みんな、できてるみたいですね! しっかり、安定感があります。

「バランス感覚だけじゃなく、片足立ちの持続時間は太ももの筋肉の量とも関係しますし、全身の筋肉量とも相関してきます。片足立ちがしっかりできるっていうのは、転びにくい強い足をつくるっていうことにもなります」(中村先生)

ここで、イベントに参加したお母さんから「バランス感覚って、将来にどういう影響があるんですか?」という質問が。

転びにくい体を作ります。転ばないってことは怪我をしないっていうこと。怪我をするお子さんっていうのは、転びやすいです。ちょっとした階段や段差につまずいて、足首を捻っちゃったり。大きな怪我するとずっと引きずるので、小さいうちに怪我しないよう過ごしたいですね。ちょうど小学校に上がる前後で、バランス感覚はものすごく育っていきます」(中村先生)

体にフィットしたものを選ぶと良い姿勢になりやすい


続いては、「体にフィットしたもの」についても解説していただきましょう。
耳、肩、ウエストの真ん中、そして骨盤が出た『大転子』までまっすぐ一直線になり内くるぶしまで行くのが、良い姿勢。体にフィットしたランドセルを背負うと良い姿勢が保てますが、体から少し離れたところに来てしまうと重心をとらなければいけなくなり、姿勢が自然と悪くなります。体の近くにしっかりとフィットさせることが大事です」(中村先生)
小学生で肩こりに!? 気をつけたい「子どもの姿勢」と「正しいランドセル選び」

イメージしてください。スーパーの大きな買い物袋を遠くに持つと辛いけど、近くに持つと楽でしょう? これは、ランドセルも同様。ピッタリとフィットしてる方がいいんです。
肩位置がピタッとしているとバランスがとれ、良い姿勢になりやすい。ピタッとしてないものを使っていると後ろに引っ張られ、バランスがとれなくなります」(中村先生)
実はランドセル、中の教材も含めると3.5kgもあるのだそう。これって、子どもたちの体重と比較すると15%の重さなんです。体重60kgの大人の15%というと、9kgにまで達してしまう。毎日9kgの荷物を、6年間も背中に背負うと考えたら……。

「相当ピタッとしたランドセルを選んであげないと、体の成長が阻まれてしまいます。しかも学年が上になるほど、教材が重くなっていきます。だから、余計に気を付けてあげたいですね」(中村先生)

ランドセルの選び方


続いて第二部は、「ランドセルの選び方」について。セイバンのランドセルコンシェルジュ・井上さゆりさんが登場しました。

「皆さん、やはりカラーや軽さ、価格を重視してランドセルをご購入されますが、重要なポイントは他にもあります。何より、“からだに負担をかけない機能”がたくさん備わっているものを選んでほしいです」(井上さん)

同社の新モデルには、体に沿ってフィット感が増す「3D肩ベルト」が使われていたり、重さを1点のみでなく肩の外側や内側へ分散させる機能があったり、背筋をピンとさせるランドセルが多いらしい。安全面に関しては、邪魔にならない程度に反射材が配されていたり、給食袋が何かに引っかかっても体が持って行かれない工夫が施されていたり。我々の時代には、そんなランドセルって無かったなぁ……。
小学生で肩こりに!? 気をつけたい「子どもの姿勢」と「正しいランドセル選び」

ピタッとフィットしたものを最初に購入していただいても、成長に合わせて調整できる商品はあります。そういうものを選ぶというのも大事ですね。ランドセルは呼吸や血行にも関係しますし、血流が変われば脳血流も変わり、お勉強のしやすさにも関係してきます」(中村先生)

というわけで最後は、お子様とお母さん方に実際にランドセルを背負ってもらいました。
小学生で肩こりに!? 気をつけたい「子どもの姿勢」と「正しいランドセル選び」

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「子どもはお母様方の背中を見て育ちますので、ぜひ運動習慣や姿勢にがんばってみてください!」(中村先生)
(寺西ジャジューカ)