ひとりでご飯を食べるとき、ふと猛烈に欲して、タイ料理やベトナム料理などのエスニックを選ぶことが多い。
だが、これはおそらく個人的な傾向ではないと思う。
何故なら、そうしたエスニックの店に行くと、自分と同じような「おひとりさま」の女性の姿を多数見るからだ。

なぜひとり飯をする女性は、エスニックを好むのか。

店の壁際の席をいつも女性の一人客がズラリと占める「バンコク屋台カオサンルミネ新宿店」に聞いた。

女性がタイ料理を食べたくなる理由


「ひとり飯」をする女はなぜエスニックが好きなのか


「弊社には様々なスタイルのお店があるため、店舗にもよりますが、特に屋台風のお店では女性一人客が本当に多いですね。ただし、もともとは約20年前にトムヤムラーメンのお店からスタートし、当時はタイ料理が浸透していなかったため、ゲテモノ扱いでした。その頃は『ラーメン』ということで、お客さんも早稲田の学生さんや男性がほとんどだったんですよ」(広報担当・渡部さん 以下同)

そういえば、自分も初めてタイ料理を食べたのは20年ほど前、大学進学で上京したばかりの頃。
甘酸っぱく辛い味にビックリしたことが懐かしく思い出される。
それを思うと、現在のタイ料理の浸透ぶりには隔世の感があるが、なぜ女性に人気となったのだろうか。

「タイ料理は酸味が強いこと、辛いことなどから、様々な先入観を持たれがちですが、女性は『おふくろの味じゃないものも試したい』という勇気があるのだと思います」

「ひとり飯」をする女はなぜエスニックが好きなのか


特にカオサンルミネ新宿店はもともと「ひとり客の女性」をターゲットにしていたそうで、その理由について言う。
「女性は、いつも決まったものでなく、ひとりでフラッと入って『今日はこれ』『今度はこれ』など、いろいろなメニューにトライしたいと思う方が多いようです。家族や友人と食事するときと違い、人に合わせず人目も気にせず、自分で好きなものが試せるのが良いのではないでしょうか」

ちなみに、身の周りの「ひとり飯好きのエスニック好き」に理由を聞いてみると、以下のような意見が挙がった。

「エスニックとか辛いモノは刺激が強いから、急に食べたくなる。
ふと思いついたら食べずにいられないから、ひとりで行くことが多い」

「女性は冷え性の人が多いから、発汗性の高いスパイスを体が欲するのでは? 自分も急に欲しくなるからひとりで行く」

「もともとエスニックが大好きなんだけど、子どもがいると辛いモノがダメだったり、友達でも苦手な人はいたりするから、家族や友人との食事は無難なイタリアンなどになりがち。そうなると、一人で食べられるチャンスは逃せない」

「エスニックのお店には、ひとり客の女の人が多いから、自分もひとりで外食するときに入りやすさで選ぶところもある」

決して「おひとりさま」を気取るわけじゃない。自分自身の中で急激に訪れる「刺激的なモノを食べたい」「いろいろ試したい」という強い欲求を満たせるのが、人に合わせず人目も気にしないで済む「ひとり飯」なのだ。
(田幸和歌子)