プロ棋士とコンピューターによる将棋対決が注目された時期がありましたが、もはやコンピューターがプロ棋士に負けないレベルにあることは明らかでしょう。
こうなると、どちらが"主"で"従"かわからなくなってくる。気を抜いたら逆転されそうな不安が生まれないでもない。いわゆる『猿の惑星』的な状況への恐怖です。

話は変わって、注目の新キャラクターをご紹介したい。「ekoD Works(エコードワークス)」が1月19日に発表したのは、その名も『マネdeキン』
「なぜ人間の代役に甘んじているのか?」 もしマネキンたちが人類に刃向かったら

「人間には真似できないマネキン技を駆使するマネキン人形」が、この新キャラの特長でありセールスポイントだそう。

マネキン「我々の方が色々優れているのに!」


『マネdeキン』誕生に際し、以下のようなストーリーが設定されているのでご紹介しましょう。
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ある時、1体のマネキン人形がふと気づいた。「なぜ我々は人間の代役に甘んじているのか? 我々の方が色々優れているのに!」と。マネdeキンとは、人間には真似できないマネキン技を駆使するマネキン人形の総称である。彼らはマネキン界と人間界の地位逆転を図り、ついにはマネキン技で人間に挑戦状を叩きつけた。高度な技の数々で優越感を抱くマネdeキンであるが、その殆どは人間にとってどうでもいいポージングばかりである(今はまだ……)。人間と人型の造形物との噛みあうことなき争いの行く末やいかに―。
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まさに、主従逆転を狙うマネキンからの反乱! もしかしたら、この新キャラクターには壮大な意義が隠されているのではないか? 制作者であるekoD Works代表・福澤貴之さんは、こう話します。
「昨今は自動運転車や家庭用人型ロボットの実用化が報じられ、AI(人工知能)やロボットの進化が顕著に感じられるようになりました。それに伴い、AIは感情を持つのか否か、AIが人間の脳を超える特異点はいつ訪れるのか、ロボットが人間の雇用を奪うのでは、といった議論も活発になっています」(福澤さん)

しかし、それらはどこかSFチックでテレビの中の話に見え、日常生活の中ではまだまだ現実味を持って受け入れられていない。そこで、今回は「ロボット」ではなく「マネキン」をモチーフにしてみようと思い立ちます。
「『マネdeキン』というキャラクターのアイディアは以前から温めていましたが、きっかけが言葉遊びからの連想だったため当初の設定は薄っぺらでした。そんな折、AIやロボットのトレンド情報を度々見聞きし、『マネdeキン』のキャラクター像を深化させるのに相性の良いテーマだと感じたのです。マネキン人形は古くから身近にある等身大の人形で、"テレビの向こう側のロボット"よりも親近感があり、『AI×ロボット』の未来像を日常的な姿として捉えるにはうってつけのモチーフです」(福澤さん)

人間との地位逆転を目指し、スペシャルなマネキン技を繰り出す


汎用人工知能が進化していきAIに意識が芽生えたら、そして自分たちの優位性を自覚するようになったとしたら、AI(又はそれを搭載したロボット)はどう振る舞うのだろう? それは、これからの人類に訪れる大テーマでしょう。
「AIが感情を持つか否かについては様々な見解があり否定的な意見も多いですが、そこは私なりのファンタジーとして感情を持つケースを前提としました。未来のAIはどのような振る舞いを見せるか? 私は、人間と異なる基準で物事を判断するのではないかと想像しています。我々の価値観とは異なるベクトルで競争し、人間にとってはどうでもいいような分野で頂点を極めていく。そのような文脈を背景に、本作のキャラクター設定を作りこみました」(福澤さん)

制作者の想像がそのままマネキン人形に落とし込まれ、『マネdeキン』のコンセプトは出来上がっています。人間との地位逆転を目指す彼らは、以下のような"マネキン技"を披露して悦に入る!

「なぜ人間の代役に甘んじているのか?」 もしマネキンたちが人類に刃向かったら

●超背伸び
超背伸びとは上半身を持ち上げることでより高く遠くを見渡すことができるマネキン技である。上半身をやや前傾にして前後のバランスを保つのがポイントだ。
●超土下座
「なぜ人間の代役に甘んじているのか?」 もしマネキンたちが人類に刃向かったら

超土下座とは顔だけ相手の方へ向けながら土下座の姿勢をとるマネキン技である。申し訳無さそうな表情を見せることで通常の数倍もの謝意を伝えることができるのだ。
●ソファ&ベッド
ソファ&ベッドとは横たわらせた上半身に下半身を腰掛けて、座ると寝そべるを同時にこなせるマネキン技である。一度で二倍のくつろぎ効果が得られるのだ。
●ホールドヘッド
「なぜ人間の代役に甘んじているのか?」 もしマネキンたちが人類に刃向かったら

ホールドヘッドとは頭を腕に抱えて決めポーズをとるマネキン技である。ヘッドボーラーの定番ポーズであり、これを自然な流れで決めることがモテるマネキンへの第一歩だ。
●お手頭
お手頭とは複数の頭部を投げては取り投げては取りを繰り返すマネキン技である。考え事をして煮詰まった時に有効だ。
●天の川大橋
「なぜ人間の代役に甘んじているのか?」 もしマネキンたちが人類に刃向かったら

天の川大橋は2体のマネキンがお互いに顔を相手方へ差出し、遠距離から口づけを行う高等マネキン技である。障害物があっても腕を伸ばして乗り越える愛の深さが必要だ。

たしかに我々人間にはできない、スペシャル技ばかり。しかし、同時に「で?」と思わないでもない……。
「マネdeキンは自分たちが人間よりも優れている点に気づき、その優位性を活かしたマネキン技で人間たちに挑戦します。しかしその争点自体が、人間にとって大して重要ではなかったりもします」(福澤さん)

マネキン技を紹介するレッスン番組を制作


なのに、マネキン界から繰り出される攻撃の手は緩まるところを知らない。彼らは、60秒でマネキン技を紹介するレッスン番組『マネdeキンTV』を制作。マネキン界のエリート「マネdeキン」が出演し、"パンピーマネキン"たちにマネキン技のコツを伝える内容になっています。1体でも多くパンピーマネキンをマネdeキンへと成長させ、マネキン界全体のレベルを上げることを同番組では目指す!

#01.超背伸び

#02.臀部目視

#03. 上体プロペラ



この『マネdeキン』、既にカプセルトイ(マネキン技6種×ホワイト・シルバー2色の全12種)として1回200円で1月下旬より発売中です。
「なぜ人間の代役に甘んじているのか?」 もしマネキンたちが人類に刃向かったら

そして今後は、等身大マネdeキンの制作や続編動画制作など更なる作品展開も予定されている。費用調達のためのクラウドファンディング実施も検討中とのことです。

マネキンの誇る優位性があまりにトンチンカンなので、私はだんだん可哀想になってきました。結果、母性本能がくすぐられ、資金援助してあげたくなってくる!?
(寺西ジャジューカ)