天下統一を目指した戦国の“覇王”、織田信長によって築かれた安土城。それまでに類を見ない豪華なものであったとされる。
しかし、本能寺の変で信長がこの世を去った後に焼失し、詳細な記録もほとんど残っていないため、幻の城とも言われる。
三重県にある安土桃山時代をテーマにしたレジャー施設、「伊勢・安土桃山文化村」。ここには、100億円もの工費をかけ、時代考証に基づき現代によみがえった安土城がある。
昼の安土城。金色と朱色が特徴の、豪華な城だ。
忠実に再現された原寸大の城が舞台となる、日本最大級の恐大お化け屋敷「呪われた安土城 ～第六天魔王の箱～」が7月30日から8月31日まで行われる。
夏の特別イベントお化け屋敷「呪われた安土城 ～第六天魔王の箱～」
自らを「第六天魔王」と称した織田信長が残した古びた箱。これに触れると数々の災いが起きるという。
箱の呪いを解くために来場者には指令が下される。夜のお城なんてただでさえ不気味なのに、そこに入っていく。さらに一度入ったらリタイア不可という、お化け屋敷の前を通るのすらイヤな筆者にとっては拷問のように思える企画である。
それでもどんな内容かは気になる！ 役者の斉藤やすさんに話を聞いた。
3年目の夏、お化けたちも上手くなった！？
伊勢・安土桃山文化村 斉藤やすさん
――開催の経緯を教えてください
夏だ！＋肝だめしだ！×お城がある！＝安土城お化け屋敷だ！ といった具合です。
――地上7階、高さ43メートルのお城をお化け屋敷にするのは、かなり大変だと思います。どんな苦労がありますか？
お城の構造上階段が多いので、安全を確保しつつも単調にならないような仕掛け作りに苦心しました。
お化け屋敷のエリアは6階までで、そこまで上がったら、2階まで降りて来て退城となります
――どんなところに工夫をしていますか？
原寸大の安土城という最大の特色を生かし切るよう、登場するお化けそれぞれに役柄やストーリーがあります。今年は南蛮文化の影響を受けた信長の城らしく、信長を慕うキリシタンの亡霊が出るという噂です。
――ストーリーはどのように作られているのでしょうか？
ストーリーは伊勢安土桃山文化村の作家集団、「書こう浪士」が考えています。2014年「呪われた安土城 彷徨える信長の魂」、2015年「呪われた安土城 女たちの最期」に続き、今年で3回目となります。
――三年前と比べて変化したことはありますか？
お化け役が……、いえ、お化けがずいぶん上手くなってきました。また、今回は真っ暗闇の戦場を進むエリアがあります。
文字通り命綱を頼りに、感覚を研ぎ澄ませて脱出して頂きます。さらに毎年新しいお化けもやってきます。
「なまはげ」的な使い方も……。極限状態に陥る人、多数
――どんなところが魅力でしょうか？
リアルで広い安土城の中は、来場者の悲鳴が響き渡るほど静まりかえって不気味です。そして長い道のり。行けども行けども続きます。
心理的恐怖に加え体力も消耗され、極限の状態に陥る方多数です。
――お客さんの反応はいかかですか？
実際の例として、腰を抜かす方、泣きわめく大人、靴が脱げてもそのまま逃げる方、彼女をほっといて逃げる彼氏、お父さんに『もう悪さしないか！』と言われながら進み、お化け屋敷をなまはげの様な使い方をしている親子、などなどさまざまです。
――リタイア不可ということで、ハードルが高そうですが、どんな方々が参加されるのでしょうか？
下は小学1年生から、上は80代の方まで、まさに老若男女です。80代の方はお一人でいらして、「危ないので入らない方が良いのでは？」と申したのですが、お化け屋敷が大好きで来たとのことで入場されました。海外旅行者の方もいらっしゃり、ものすごい大きいリアクションで怖がっておられました。
――お城まるごとだと、かなり脱出まで時間がかかりそうですよね……。
平均所要時間はどのくらいでしょうか？
平均は15分くらいです。怖さのあまりダッシュで駆け抜け、3分くらいで出る人や、動けなくなり30分くらいかかる方もいます。
――最後に安土城お化け屋敷のアピールをお願いします！
第六天魔王こと織田信長が遺した『箱』には何が入っているのか？ なぜ箱には呪いがかかっているのか？ 広い安土城内を恐怖に耐え進み、答えにたどり着いた方だけが爽快感を味わえます。
「お化け屋敷」のレベルを超えた「お化け城」。恐怖に耐え、無事に城から脱出することはできるだろうか。じっくり城の内部を見ている余裕はないかもしれないが、怖いもの好きだけでなく、歴史好きも楽しめそうな夏の風物詩だ。
夏の特別イベントお化け屋敷「呪われた安土城 ～第六天魔王の箱～」
◆日時
2016年07月30日(土) ～ 2016年08月31日(水)
15:00 ～ 19:00 最終受付は18時30分。お盆期間は延長あり。
◆場所
伊勢安土桃山文化村安土城 （三重県伊勢市二見町三津1201-1）
◆料金
16時まで大人1000円、小学生800円（別途入村料必要） 16時以降一律1300円
