ブタなのに「やきとり」!? 東松山の不思議
ちなみに、私、ヤキトリなら底なしで食べられるので、力士とすら争える自信がありますが、「ブタ」の場合はどうなんでしょう?
焼鳥屋で「やきとり」を頼むと、なぜかブタが出てくるまちがあることをご存じだろうか。埼玉の東松山市である。
東松山駅を中心に100軒ほどの焼鳥屋が点在しているが、出てくるのはことごとくブタ。なぜそんなことがまかり通るのか? 東松山市観光協会は、その由来について言う。

「もともと『ブタ』を『やきとり』として出し始めたのは、戦後間もなくのこと。近くに食肉センターがあり、毎日、豚のカシラ肉をはじめ、豚のナンコツ、タン、ハツ、レバーなどが直送され、新鮮なものが安価で安定的に入手できるので、活用できないかと考えだされたんです」
 
味付けは唐辛子入りのみそだれが基本だが、韓国出身の大松屋(やきとり屋)初代ご主人が、唐辛子入りのみそだれと焼いたかしら肉を合わせものが始まりなのだとか。
 
それにしても、ブタを焼くなら「焼き豚」でいいじゃないか。あ、でも、それはもうあるな、別のが。
じゃ、「串焼き豚」とか? ピンとこないか…。初めて来るお客さんから「ブタじゃん!」というクレームがくることはないのか?
「特にないと思います。東松山のやきとりはマスコミなどで認知され、店主がルーツなどを説明しているようですよ」
 
ちなみに、東松山市には、全国で唯一の焼鳥屋で構成された組合「東松山焼鳥店組合」が存在する。これは昭和37年に、当時営業していた7軒が集まり結成されたもので、現在は35軒が加盟。組合で新鮮な豚のカシラ肉を共同購入するため、値段も各店「やきとり(カシラ肉)1本100円」と統一できるのだとか。
 
さらに、平成10年には、「焼鳥のまち」をPRするため、東松山市商工会青年部が作詞・作曲した「東松山やきとり音頭」なるCDも発売されている。
今回は、そのステキな歌とともにお別れしましょう。


カシラだ レバサシ ナンコツ タン ハツ ヤキトリ音頭だよ
ハァ〜 駅を降りれば大鳥居 ハァ〜 やって来ましたヤキトリランド
名物みそダレたっぷりなびって あなたも1本いかがです?
ハァ〜 今日も誰かが唄ってる ヤキトリ音頭
(田幸和歌子)