熱中症・熱射病・日射病、どう違う?
こう暑いと、サルだって熱中症になってしまうキー。
子どもの頃は、帽子もかぶらず炎天下で長時間遊んでいると、「日射病になるよ!」とよく注意されたものだ。
でも、近年は、この「日射病」という言葉、とんと聞かなくなった。
かわりに頻繁に登場するのが「熱中症」だ。
以前、Bitで「熱中症の男女比」についての記事があったが、そもそもこの熱中症という言葉、いつから使われるようになったのか。熱中症は様々な症状の総称と認識しているが、熱射病、日射病とはどういうものなのか。なぜ、最近は「日射病」と言わず、「熱中症」と言うようになったのか。

友人の医師に聞いてみると、そもそも熱中症は、「高温の環境下での全身の障害の総称としていう」のだという。
熱中症という言葉は昔からあったそうで、この熱中症の中に、熱疲労や熱けいれん、そして熱射病なども含まれるのだそうだ。

「日射病は、この熱射病の中の『太陽光が熱源となっているもの』を言うんですよ」
つまり、総称・熱中症の一つに熱射病があり、さらにその中に日射病があるというわけだ。
では、なぜ日射病と言わなくなったかというと、
「日射病は一部の症状しか言わないことと、総称の『熱中症』で一般的に通じるからでは?」という。

さらに、最近は太陽光に関係なく、高温のサウナ状態となり、家の中で倒れているお年寄りなどが問題視されているが、
「夏の高温下で倒れている人は、おそらく昔からいたと思いますが、それを報道などが取り上げるようになったこともあるのでは?」とのこと。
かつては、病院に運ばれて亡くなったのでなければ、家で倒れていても原因がわからなかったかもしれない可能性があるのだそうだ。
「ただ、昔は自宅で誰かが看ていたりしたけど、今は高齢化社会で、核家族や一人暮らしの老人が増えているから、気づかれずに倒れている人は増えているんだと思います」

近年の高温多湿の環境の変化に加え、こうした社会的な背景もあって、より原因・症状も複雑になっている「熱中症」。
その幅広い症状を総称「熱中症」として呼ぶことが増えたということだろうか。

(田幸和歌子)