タイムカプセルって何年埋めておけるもんなの?
未来の世界へ、きちんと保存して伝えていきたいものですね。
小学校の卒業など、記念のときに埋められるタイムカプセル。
未来へと思い出を運んでくれる、いわば「タイムマシン」みたいな存在で、特別な日の定番イベント。
成人式ごろに発掘される様子は、ローカルニュースの定番でもある。

ところでこのタイムカプセル、何千年も前の土器が発掘されるみたいに、埋めておけば半永久的に保存できるイメージがある。これ、実際にはどのくらいもつものなんだろうか。

タイムカプセルを製造・販売している、添原工業株式会社に聞いた。
「タイムカプセルの材質にもよりますが、一般的なステンレス製のものなら、10〜20年をメドに掘り起こすのがいいと思います。タイムカプセル自体は大丈夫なんですが、中身が劣化してしまうことがあるんですね」
土の中は、意外と変化が激しい場所らしい。
例えば気温の変化でタイムカプセル内が結露すると、手紙や写真は色あせるし、文字が水で消えちゃうこともある。だから、あまり長く埋めておけないんだとか。

じゃあ、なるべく長く保存するには、どうしたらいいんだろう。
「埋める場所は、温度変化の少ない1メートル以上の深さに埋めたいものです。そうしたうえで、タイムカプセルを何重にもビニールで包むことを勧めています」
タイムカプセルの敵は湿気。中の湿気を防ぐためには、そういった対策が必要。
開けてガッカリしないためには、そのくらいしといた方がいいようだ。

ところで世の中には、10年や20年よりも遥かに長く埋められているタイムカプセルがある。
1939年、アメリカのニューヨーク万博で埋められたタイムカプセルは、開けられるのは、5000年後の6939年。これが「タイムカプセル」という名前の元祖ともされていて、マイクロフィルムに撮った膨大な量のアメリカの情報や、日用品、雑誌、アインシュタインのメッセージなどが入れられている。
日本では、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)で埋められたタイムカプセルが、5000年後の6970年に開けられる。1970年時点の文化を5000年後に残そうと埋められたもので、宇宙食や胃カメラ、超小型ラジオ、米、畳、宝くじ、びっくり箱なんてものも入っている。
びっくり箱を開けた5000年後の日本人が、殺意を覚えませんよう……。

ちなみに、大阪万博が日本初ってわけじゃなく、昔からタイムカプセルはあったようで……。
「タイムカプセルは大阪万博の前からあって、やっぱり卒業のときなどに思い出の物をみんなで埋めていたんですが、当時はポリバケツや水道管に入れていたんですね。なので、取り出したときにはほとんど破損していましたが」

昔の思い出や世の中を、今に伝えてくれるタイムカプセル。
「タイムマシン」で運ぶように当時のまま保つには、埋めるときにしっかり準備する必要があるようだ。
(イチカワ)