A5、B4 ……食肉の「格付」ってどうやって決まるの?
たまに見かける「A5」などの表記。いったいどれだけ特別な肉?
「最高級A5の黒毛和牛です!」――お肉屋さんや焼肉店でたまに目にするこんな表示。とりあえず相当ウマイんだろうな、とは思うけど、実際のところ「A5」の肉ってどれだけ特別なの?

実は「A5」「A4」という表記は、社団法人日本食肉格付協会によって行われる格付けの結果をしめすもの。
ちなみにこの表記で格付けされるのは牛のみ。

気になる内容だが、まずAやBのアルファベットは「歩留等級」を表す。これは一頭の牛から取れる肉の割合が多いほど良いとされ、Aを最高にB、Cと続く。そして数字は「肉質等級」を示し、その名のとおり肉の質の善し悪しのランクだ。「脂肪交雑」(霜降り度合)、「肉の色沢」、「肉の締まり及びきめ」、「脂肪の色沢と質」の4項目がそれぞれ5〜1段階で評価される(5を最高に4、3と続く)。

その2つの等級を組み合わせて「A5」「C4」などと格付けされるのだが、「トリプルA」ならぬ「Aクアドラプル5(四重の5)」とかいう表示はない。
というのも「肉質等級」の最終的な数字は4項目のなかで一番低いものが採用されるから。つまり1項目でも1があれば、他の3項目がすべて5であっても、「A1」などの評価になってしまう。かなりシビアな世界だ。

参考までに昨年格付けされた牛の頭数は約98万頭。そのうち「A5」は6万頭にも満たない。やはり「A5」って、想像以上に上等なよう。
また同協会では、ほかに豚の格付も行っており、こちらはシンプルに「極上」、「上」、「中」、「並」、「等外」の5等級で格付けしている。

では実際に格付ってどういうふうにしているのだろう? 協会の方に聞いてみると、
「格付は格付員とよばれる専門家が、卸売市場などで一頭毎に、計測器などを使って行う部分と目視で行う部分があります。衛生的な冷蔵庫などの低温環境での作業で格付員にとってはかなり肉体的にキビシイ現場状況です」
全国には約300人の格付員(委嘱含む)がいるそうで、
「全国統一規格で公平・中立が保てるよう、毎年研修と試験が行われます。規模の小さな食肉センターなどでは一部未格付の枝肉がありますが、全量格付になるよう啓蒙活動をおこなっています」

現状では、日本で格付けが行われているのは牛と豚だけだ。鶏やラムなどについては、取引するうえでの目安となる等級はあるものの、格付員による格付けは行われていない。確かに鶏なんて数が多すぎて現実的にムリな気もするけど……。


とりあえず本当に特上なんだとわかった「A5」ランクの肉。あぁ、肉のことばかり書いていたら、無性に旨い肉が食べたくなってきました……。
(古屋江美子)

(社)日本食肉格付協会HP