しばらくの間鳴き声は、か細い超ハイトーンヴォイスの「ニーニーニー」だったが、徐々に「ミャーミャー」になり、1カ月ほど経つとトーンもだいぶ落ちついた。その頃になると仔猫の動きは活発になるので、いつも「ニャーオ」と可愛い声で擦り寄ってくる若い母猫は、「ナァ~ゴォ~」と低い鳴き声(人間の赤ちゃんのような声)で鳴いたりして、仔猫たちを招集していた。
3匹生まれた仔猫のうち1匹が道に飛び出して死んでしまったのをきっかけに、母猫ごと我が家で一時保護することにし、避妊手術のため母猫を入院させたのだが、突然キャリーに入れられてびっくりした母猫は行きの車の中で「ニャーオ! ニャーオ!」と鳴きまくり、仔猫はそれをきょとんと聞いていた。すると突然、昨日まで「ミャーミャー」と言っていた仔猫がいきなり「ニャーオ! ニャーオ!」と、若干トーンが高いものの、母猫そっくりの声で勢いよく鳴き出したのだ(生後2カ月強)。
その後知人宅の飼い猫になったため、その後の声変わりについては未確認だが、同じ頃生まれた他の仔猫(推定4~5カ月)は、すっかり大人猫と同じようなトーンで「ニャーオ」と鳴いている。
人間は思春期を迎えると、声変わりをする。
人間の身勝手な都合で捨てられた猫を保護し、沢山の仔猫と触れ合ってきた経験を持つ方に話を聞いてみた。
「人間と同じように猫も、体が大きくなってくると声も太くなってきます。声は声帯が大きいほど低くなるらしいんです。
なるほど。3カ月~6カ月ともなると猫は「コネコ」というよりは「中ネコ」と呼びたい大きさに成長するので、それにしたがって声帯も太く長くなり、鳴き声が変化するということなのだろう。
さらに、猫を飼っている知人に尋ねてみたところ、「ある日奥さんの実家に連れて行ったら、そこで飼っているおじいさん猫の鳴きまねをずっとやっていて、帰ってきたらガラッと鳴き方が変わっていた」という。他の猫と接触がある仔猫は、もしかしたら周囲の大人猫の鳴き方からも影響を受けるのかも。
猫が「ニャーオ」と鳴くたび、「ミャーミャー」のうちに死んでしまった猫たちの分まで天寿をまっとうしてほしいと願う今日この頃です。
(磯谷佳江/studio woofoo)