「ギャートルズの肉」を筆頭に、「小池さんのラーメン」や「ラピュタの目玉焼きパン」などなど、アニメに登場する食べ物=いわゆるところの「アニめし」。人それぞれ、子どもゴコロに「アレと同じものが食べたい!」と願ったアニめしがあるのでは?
ちなみに、私が憧れていたのは、『ルパン三世カリオストロの城』にて、ルパン&次元が取り合いっこしながら食べていた「ミートボールスパゲティ」である。
日本ではありそうでないメニューだけに、どういう味がするのかと長年想像をふくらませていた次第。

ところが先日、料理家のケンタロウ×理系作家の柳田理科雄の共著、『空想お料理読本』という本を手にとったところ、このスパゲティのレシピが載っているのを発見(本書は2008年に『空想キッチン!』というタイトルでリリースされたもので、このたび改題され、文庫化されたらしい)。冒頭で挙げたようなアニメや漫画に登場する食べ物を、この2人が料理と科学の両面からあーでもないこーでもないと議論し、一部を実際につくって食べてみようという素晴らしい内容!

ケンタロウ氏にとっても、このミートボールスパゲティは長年の「憧れの料理」だったのだとか。レシピに沿って実際につくってみたところ、ミートボールにはあっさりした鶏ひき肉を使い、バジルやオレガノなどのハーブやスパイスを利かせるのがポイントになっていた。このためパスタの量が多くても、飽きずに食べられるように工夫してあるのだとか。さらに、「作品の舞台であるカリオストロ公国は、ヨーロッパの小国という設定ですから、やっぱりトマトソースでしょうね」との解釈から、味付けには主にトマトの水煮缶を使用。
ひと口、食べてみたところ、何コレ? おいしーー!! と感動。「カリオストロ風」として、本当にパスタ専門店などで出してほしい! と思ったほどの味わい。さすががっつり系の王者、ケンタロウレシピです。

版元のメディアファクトリーさんにお話を伺ってみたところ、ケンタロウ氏によるレシピはとても好評で、2人のやりとりを読んで楽しむだけでなく、実際に料理をつくって「とてもおいしかった!」という感想を寄せてくれる読者が多いのだとか。制作現場でも柳田氏ほか、スタッフみんなで掲載の料理を食べたそうだが、あまりのおいしさにあっというまになくなってしまったという。

ちなみに、『空想キッチン!』で最も読者の反響が高かったのは、実は「ハクション大魔王のハンバーグ」だったのだとか。
どう見てもコロッケなのに実はハンバーグ……という例のアレである。本書ではなぜ、コロッケに見えるのにハンバーグ? という大人の事情などもトリビア的に披露されているので、気になる方はぜひ御一読を。

ところで、本書には載っていなかったものの、このほか私がぜひ食べてみたいと思っている「アニめし」は、『あしたのジョー』の好物である「トマトのサンドイッチ」。これはのりちゃんが「矢吹クン、好きだものね」と持ってくる差し入れで、サンドしてある具がトマトオンリーに見える衝撃的なものだったが、ジョーはおいしそうに食べていた。しかしこの後、ジョーの体調を心配するのりちゃんに対し、ストイックすぎるジョーの言動により、珍しく公園で2人きりのいいムードがブチ壊しになる切ないシーンでもありました……(涙)。もし、『空想お料理読本』の第二弾をつくることがあるとすれば、ぜひケンタロウ氏にレシピをお願いしたいものです。

(まめこ)