約10年ぶりに出産した友人などから「久しぶりに子どもを産んだら、以前とは予防接種の種類も変わってるし、育児グッズや方法論なども変わってるし、驚いた」といった話をときどき聞く。
でも、こうした変化は人間に限った話ではない。
ハムスターの世界も、数十年で飼育法などがずいぶん変わっていることをご存知だろうか。

幼少時に一時飼った経験のあるハムスターをこのほど約30年ぶりに飼い始めたのだが、何もかもが違っていて、まるで浦島太郎状態になっている。

1988年より連載開始され、大ブームとなった『ハムスターの研究レポート』なども、今読んでみると、やはり隔世の感はある(※2006年より一時連載再開していた時期もアリ)。
以下に、ハムスター飼いの人たちにとっては常識的なことながら、無縁の人には意外と知らない違いをご紹介したい。

まずは飼育環境。昔は鳥かごや衣装ケースなどで飼っていた人が多かったのだが、今はハムスターの小屋が多種多様に作られていて、様々な遊具がついたものや、二階建てのゴージャスなもの、回し車の回転数をカウントしてくれる装置つき(なんのため? 誰のため?)のものまである。


また、かつては新聞紙を入れている人が多かったが、今は専用チップを使用している人が多いよう。
もちろん今でも専用の小屋ではなく、プラ製の衣装ケースなどを利用している人、チップでなく新聞紙を入れている人もけっこういるが、「初めて飼う方には、回し車などもついたコンパクトな飼育セットが便利なようです。また、新聞紙でも全くかまわないですが、ハムちゃんの体にインクの色がうつってしまうという理由などで、嫌がる方もいらっしゃいます」とペットショップの店員さんが説明してくれた。

さらに、ハムスターが場所を決めて用を足す習性から、専用トイレもあったり(※スペースをとるため、トイレを置かない人も多い)、睡眠妨害にならないよう、音の出ない回し車「サイレントホイール」なども売られている。
また、「15度以下になると冬眠の準備を始める」などが今はよく知られているため、ハムスター用ヒーターも各種ある。

エサに関しては、昔はひまわりの種と野菜くずなどを与えている家庭が多かったように思うが、1988年より連載されていた『ハム研』ではチョコや納豆、ミカン、牛乳などまで、かなりなんでも食べさせている。
そして、今では、「チョコレートは中毒の危険性があり、牛乳は下痢の原因になる」などの理由から、NGと言われているようだ。
しかも、今は「ひまわりの種は好物だが、太りやすく、健康に悪い影響を与えるから、あげすぎてはいけない」というのが常識になっていて、「ペレット(主食)と水だけをあげている」という人、「よくないとわかっていても、喜ぶから、ひまわりの種をついあげてしまう」という人、「1日3粒までにしている」という人など、様々な葛藤があるらしい。

これについて、ペットショップの店員さんはこんな説明をしてくれた。
「栄養バランスと健康を考えたら、主食が良いのですが、主食はどうしてもハムちゃんにとって不味いらしいので、主食8割にミックスフード2割で混ぜるのがオススメです」

昔は誰かの家で生まれたものをもらった人も多く、流行したとはいえ、ずいぶん粗雑に扱われていたハムスター。今は飼育論も確立されていて、改めて学び直すことだらけです。
(田幸和歌子)