右を向いても田中宏和さん、左を向いても田中宏和さん…。そんな「田中宏和だらけの新年会」が1月19日に行われた。
会場は東京の日本橋にある「粋つ家」。実はここの店長の名前も田中宏和さん。もちろん、集まった田中宏和さんは全員本名である。そんな「田中宏和だらけの新年会」に潜入してきた。

●まずは、ニックネームを考える儀式から

この日集まった田中宏和さんは23名。上は49歳から下は8歳で、年齢差は41歳。
早速、新しい参加メンバーの紹介とニックネームを決める儀式から始まった。なにしろ、みんな「田中宏和」なので、「田中宏和さ~ん!」と呼ぶと、全員が振り向いてしまう。そこで、お互いをニックネームで呼び合うことにしていて、その名前を決めるのだ。例えば、次のようなニックネームである。

(ニックネームの一例)
・花祭りさん:誕生日が4月8日(花祭りの日)だから。
・りんごさん:長野の実家でりんごを栽培しており、初めて集まった時にりんごを持ってきていたから。

・のっぽさん:身長が187cmもあるから。
この日に初めて参加した4人の田中さんのニックネームは「アメフト」「タンカー」「百番」「軟式」に決定。
既に名前がついている田中宏和さんのニックネームには「下着」「博士」「サーファー」「証券」「子煩悩」「FM」「小顔」「豪商」というのも…。

ここで、参加した田中宏和さんにお話を伺った。

●田中宏和さんが、初めて別の田中宏和さんに会った時、どんな感じでしたか?
田中宏和さん(ニックネーム:りんご)「初めて会った時から、話のネタに困らなかったですね。何を言ってもちゃんと返ってきますし(笑)」
田中宏和さん(ニックネーム:渋谷)「幹事の田中宏和さんにお会いした時、とりあえず姓名判断の話をしました。
『いい名前ですよね』って言いながら(笑)」

●ご自身の「田中宏和」という名前についてどう思いますか?
田中宏和さん(ニックネーム:エンジニア)「良い名前だし、そもそもいろんな田中宏和さんに会ってみて分かったんですけど、田中宏和さんに悪い人はいないです(笑)」
田中宏和くん(※8歳 ニックネーム:ブレザー)「名前が『田中宏和』でよかったです」

なお、今回集まったのは23名だが、元々、田中宏和さんを集める「田中宏和運動」という活動が行われており、2013年1月19日時点で102名が参加している。居住地は北海道から沖縄のみならず、海外にも広がっている。

そんな中、田中宏和だからこそ起きる珍現象が!

●田中宏和だらけの新年会だから起きる現象

・名刺交換の際「初めまして、田中宏和と申します」「私も田中宏和です」という不思議なやりとりが自然に発生する。
・幹事の田中宏和さんの誕生日が近かったので、ケーキで誕生祝いを。田中宏和さん達が田中宏和さんを祝っていた。

●「田中宏和新年会」以外の場でもこんなことが…

・以前、とあるテレビ番組で、色々な田中宏和さんが集まる企画を実施。
テレビ局に集合した際、受付で名前を記入する際にその場にいた全員が「田中宏和」と書いたので、受付嬢が混乱していた。
・大阪で床屋を経営している田中宏和さんが、「田中宏和割引」を実施したところ、昨年の1年間だけで5人の田中宏和さんが来店。中には東京から来られた方も。

ちょうど100人目の登録となった田中宏和さん(ニックネーム「百番」)にいたってはこんなエピソードも。
「小学校の時に、4歳年下に同姓同名の『田中宏和』くんがいて、しかも同じサッカー部でした。僕が年上なのに、年下の方はなぜか僕を『宏和』って呼び捨てにしてて、『フザけんなよ』と思ってましたね(笑)。
僕も向こうのことを『宏和』って呼んでたので、お互いに『宏和が“宏和”を“宏和”と呼んでた』という感じですね」

なんだか頭の中が混乱してきたが。そもそも、なぜ田中宏和さんは集まるようになったのだろうか?田中宏和さんを集めてギネスブックに登録させる「田中宏和運動」の発起人で、趣味は「同姓同名集め」だという田中宏和さん(ニックネーム「ほぼ幹事」)にお話を伺った。※「ほぼ」とついているのは「幹事」というと、おこがましいからだそうです。

――田中宏和さんだけで集まろうと思ったきっかけは?

「実を言うと、僕は自分の名前があまり好きではなかったんです。『田中』という苗字は直訳すると『田んぼの中』だし、『宏和』は『カズヒロ』とよく間違えられるし…。歴史的事件となったのは、1994年秋のプロ野球ドラフト会議です。
『第1回選択希望選手、近鉄、田中宏和投手』と、テレビでアナウンスを聞いた瞬間、火柱が体内を突き抜けるような喜びを感じました」

自分のことではないのに、「(幼い頃に夢見た)プロ野球選手になりたい」という夢が叶ったと思ったという。「名前が同じというだけで、他人の人生を生きられる感じがするのは楽しい」との思いで「田中宏和あつめ」をすることを決意。

ところが、同姓同名の田中宏和さんは、なかなか現れてくれない。田中宏和さんは、まだ見ぬ田中宏和さんが名乗り出てくれる日を、じっと待ち続けた。月日はあっという間に流れ、14年たった時点でお会いできたのは6人。それでも、田中宏和の輪をもっと広げていくことを諦めなかった田中宏和さん。転期が訪れたのは、2008年の年末~2009年のことだった。

「『ほぼ日刊イトイ新聞』で自らのコーナーで紹介する機会があったり、番組スタッフの方に声をかけていただいて出演したテレビ番組『新知識階級クマグス』(TBS)で、全国の田中宏和さんを集める『田中宏和運動』を紹介されたこと等がきっかけとなり、田中宏和大豊作の1年になりました」

その後も色々なメディアで「田中宏和運動」を紹介されて、認知度が一気に上がったという。実際に名乗りでてくれた田中宏和さんの総数は2009年に14名、2010年には42名、2011年には79名、そして2012年には96名へと急増し、前述のように2013年1月19日現在で102名に。

「目標は165人で、全員が同時に1ヶ所に集まる『same name gathering』を開催して、ギネスに申請することです。ただ、その後もどんどん増えていくと思うので、大きな会場を今のうちに抑えておきたいですね!」

さすがは「ほぼ幹事」。田中宏和さんの欲望はでかい。
――田中宏和さんから見て、お会いした田中宏和さんに共通する性格ってありますか?
「やっぱり、明るいし、ノリが良いですね!しかも、田中宏和さん全員が、同じ名前でつながって、人生を楽しんでいる感じです」

ほぼ幹事の頭の中には、近い将来、大きな会場に田中宏和さんだらけが集まっている光景が広がっているに違いない。

それにしても、これだけ何回も「田中宏和」と入力したのは生まれて初めてだ。もはや「た」と入力しただけで、「田中宏和」という入力候補が出てくる始末。おそるべし、田中宏和!同じ名前というだけで集まれるなんて、うらやましいぞ、田中宏和!
(やきそばかおる)


●「田中宏和」情報大募集中!
世界中に隠れている田中宏和さんは、ぜひコチラのサイトにご一報を!
北海道~沖縄だけでなく、海外の方も大歓迎だそうです。
まわりに田中宏和さんがいる方は、ご本人に教えてあげてください。
「田中宏和.com」
http://www.tanakahirokazu.com/
メールアドレス: info@tanakahirokazu.com

●作詞:田中宏和(ほぼ幹事)、作曲:田中宏和(作曲さん)
歌:11人の田中宏和さんによる「田中宏和のうた」
http://www.youtube.com/watch?v=2gISEoMIe3c

MMDにも誰か出品した人が(笑)。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm18661680
http://itunes.apple.com/jp/album/tian-zhong-hong-henouta-ep/id343554449