7月27~30日、三重県鈴鹿サーキットで開催された“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第40回記念大会、通称「鈴鹿8耐」。鈴鹿サーキット最大の二輪の祭典である鈴鹿8耐は前夜祭イベントも盛りだくさんでした。

前夜祭イベントの皮切りがグランドスタンド前での「キング」ケニー・ロバーツさんのトークショー。

ヤマハファクトリーチームから鈴鹿8耐に参戦したのが1985年、そこから32年経ってもその人気は衰えることを知りません。キングの姿を見ようとグランドスタンドは超満員。

それにしてもキングの姿が午前中のトークショーとはかなり違います。これはどう見てもライディングスーツ。

そんなキング、「もうトークショーは飽きたよ」と冗談をいいながら立ち上がると、おもむろにヘルメットをかぶり始めます。

そしてメガミュージアムに展示してあった、1985年のTECH21カラーのFZR750の前に立ちます。そう、キングがこの思い出深いマシンに乗るというのです。

1985年に参戦したとき、キングは全てのスティントをトップで終了し、あとはパートナーの平忠彦選手に全てを託して優勝の美酒に酔おうと待機していたところ、7時間40分経過時にマシンがストップ。チェッカーを受けずに終了してしまったのです。

そのキングのために夏の鈴鹿でチェッカーを受けてもらおうというのが今回のデモランになったのです。

午後7時のチェッカーに合わせて6時58分にマシンを走らせるキング。

32年経っているといっても、多少体型は変わっていてもケニーの後姿には当時の面影が。

背中から首にかけての動きに、当時の思いがよみがえってきます。

ハングオンというコーナーライディングを確立したといわれる「キング」ケニー・ロバーツさん。取材場所の都合でそのハングオンの撮影はかないませんでしたが、ストレートでの全開走行は堪能させていただきました。

そっして午後7時過ぎのチェッカー。キングは夏の鈴鹿のチェッカーを初めて受けたことになります。

往年のバイクファン感涙の「キング」ケニー・ロバーツさんの走りを間近で見ることが出来た40回記念大会の前夜祭。歴史の重みを感じる瞬間でした。

(写真・文:松永和浩)