中国の法律は「笑い話」…強盗をはねて死亡させた教師を表彰

2012年1月26日 16時22分
 強盗事件の現行犯の逃走を阻止して事故を起こし、1人を死亡、2人を負傷させた男性が法的責任を問われず、表彰されたことについて、中国国内で批判の声がではじめた。「動機は尊いが、司法的手続きも経ないで無罪とするのはおかしい」、「これで(中国の)法律は笑い話であることが分かった」などと主張。法律問題の専門サイト「東方法眼」は「『暴をもって暴を制する』ことは、治安をよくする良策ではない」と主張する論説を発表した。

 広東省広州市内の小学校に勤務する教師が17日、乗用車を運転中に路上で発生した強盗を目撃した。襲われたのは若い女性で携帯電話を奪い取られた。男3人がオートバイで逃走しようとしたが、教師は自分の車をオートバイの前方に向け、阻止した。オートバイと教師が運転する自動車がぶつかり、男3人のうち1人が死亡、2人が負傷した。

 現地警察は21日になり、「教師が容疑者の逃走を阻止しようとした」、「予想できなかった交通事故が発生」との見方を示した。教師の刑事責任を追及する必要はないとの判断だ。警察の判断を受け広州市の見義勇為基金会は22日、同教師を表彰した。

 中国では同教師への賞賛が相次いだが、25日ごろから批判の声もやや増え始めた。

 法律問題の専門サイト「東方法眼」は「『暴をもって暴を制する』ことは、治安をよくする良策ではない」と主張する論説を発表した。インターネットのアンケートでも、回答者の過半数が教師の行為を賞賛すべきとの考えを示したと紹介した上で「回答した人の大部分は悪を憎む感情にもとづいており、真剣に法律のことを考えたのではない」との考えを示した。

 論説は、「中国の刑法でも正当防衛が認められているが、必要な限度を超えれば、法的な責任を追及されることになる」と紹介。今回の事件・事故について「過剰防衛には当たらない」とする警察の判断には異議を唱えなかったが、「力」をもって社会正義を実現することを賞賛することは、妥当とはいえない面があると主張した。

 法律が「暴をもって暴を制する」を奨励しないことは、立法における世界各国の共通認識と指摘。銃所有が容易な米国では、乱射事件などが解決できないでいると指摘した。

 インターネットに寄せられた別の投稿は、容疑者を死傷させた教師が、危険性を考慮していなかったことを問題視した。同教師は取材に対しても「そんなことを考える時間はなかった」と答えた。

 投稿は過失責任の可能性も指摘し、「動機や目的は尊いが、行為の結果が罪に問われるかどうかは別の問題」と主張。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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