山東省の威海栄成市と内モンゴル自治区の烏海市を結ぶ栄烏高速道路の山東省浜州市沾化区部分で25日正午ごろ、大型トラック1台が横転した。積み荷だったひよこ数万羽の一部が道路に落ち、さらにその一部が走って逃げはじめた。
ほどなくして、周辺住民が押し寄せた。新華社や大手ポータルサイトの新浪網などが報じた。

 現場付近で高速道路は土を数メートル盛って、その上を通している。周囲は広大な田園だ。「トラックが事故、ひよこ散乱」を伝え聞いた周辺住民が、バイクや農作業車、乗用車などで押し寄せた。

 高速道路の近くに車をとめた。
盛り土の斜面を這いあがる。いた! 事故で押しつぶされてしまったひよこは一部で、かなりの部分が無事だ。荷台から落ちて走っている。遠くに逃げようとするひよこもいる。

 人々は殺到した。ひよこを次々につかむ。
持ってきた段ボール箱などに、入れる。Tシャツの腹の部分をまくってひよこを数羽入れ、段ボール箱に落とす人がいる。

 人々が広がったこともあり、高速道路では車の通行がストップした。前進できなくなった車からも人が降りてきた。ひよこを集め出した。逃げるひよこを追って「競走」する人もいる。


 警察官がやってきたが、「多勢に無勢」でどうしようもない。事故を起こしたトラックの運転手に特にけがはなかったらしく、すぐ近くに立ちつくして「略奪シーン」を眺めていたという。

 新浪網は「中国で農民とは、純朴で善良の代名詞だったはず」、「以前なら、見知らぬ土地で困ったことがあれば、近くの人に助けてもらえることが期待できた。ところが今は、一切が変化した。農民も頼りにすることはできなくなった」と嘆いた。

 新華社によると、地元警察は同件について調査を始めた。
ひよこを持ち去った者が法的責任を追及される可能性が出てきた。

 中国では同様の事件が続いている。警察官が制止しても、効果のない場合が多い。対処の仕方はさまざまだ。現場に駆けつけた警察官の数が少ない場合には、口頭でやめるよう求めるだけの場合が多い。警察官が多い場合には、集まった人々を「実力排除」する場合もある。


 現場の警察官が、持ち去り行為をやめさせようとして威嚇射撃をしたこともあった。これまでの報道によると、人々は「警察の出方」を気にしつつも、「大丈夫そうだ」と思えば、事故車などからの落下物を集め続ける。同様の事故が発生するたびに、集まった人々と警察の「チキンレース」が繰り広げられている。(編集担当:如月隼人)(写真は同件の新華社掲載頁キャプチャー)


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