色彩に富んだきらびやかな風景はしばしば人びとの審美の心に響き、そこはかとない感動を生む。一方、豊かな色彩を持たない風景にも心動かされ、その美しさにため息を漏らすこともある。
中国の水墨画や、枯山水に代表される日本の庭園は後者と言えるだろう。

 中国メディア・今日頭条は17日、日本の庭園様式の1つである枯山水の魅力について紹介する記事を掲載した。記事は、「日本に行ったことがある人であれば、日本の庭園に深い印象を抱いていることだろう。明らかな中国の古典的な園林の味わいを帯びているからだ」とした。そのうえで、日本の庭園芸術の最高峰と称される形式に枯山水があると説明している。

 そして、枯山水の起源が13世紀にまで遡り、臨済宗の中興の祖である蘭渓道隆が中国の山水画と江南地方の園林から創意を得た庭園を作り上げたと紹介。
それは世俗を脱し、静かで清らかな境地の表現を追求したものであり、石で鯉の滝登りを表現するといった技法を盛んに用いたと伝えた。

 さらにその後、夢窓疎石が白砂で水の流れを表現するといった、「真の意味での最古の枯山水」を作り上げたと説明。これ以後多くの作庭家が出現するようになり、より抽象的な要素を用いて禅宗の境地を表現するようになったと解説した。

 記事は、枯山水の庭園は「万事、万物の最終形態を表現している」とし、「水や花なくば園林にあらず」という中国の庭園とは異なると説明。枯山水を「園林」と理解することは難しいかも知れないが、枯山水という宗教的な庭園からは「世俗的な庭園とは全く異なる美しさ」を感じ取れるとした。そして「注意深く枯山水を感じた時、初めてその真の偉大さに気づくのである」と結んでいる。


 現代の中国は世俗的な美しさばかりが強調されがちである。それは豪華絢爛なものであり、色彩に乏しいもの、地味なものは敬遠される傾向にある。しかしこの先、経済発展モデルの転換や価値観の多様化に伴って、静かさやシンプルさ、淡さが持つ美しさにも目が向くようになるかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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