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ラブホテル・プロデューサーがラブホ哲学と業界の現状を激白「一番大事なのは淫靡さ」

2013年7月11日 20時00分 (2013年7月12日 19時34分 更新)
 設計、プロデュースしたラブホテルは実に1600棟以上。亜美伊新は日本固有の文化であるラブホテルに自由奔放、大胆な発想を持ち込み、大人のテーマパークというべき独自の様式へ進化させたラブホテル王だ。68歳を迎えた今も年齢を超えエネルギッシュ。そのパワーの源とラブホ哲学に迫った。

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 用意してもらった作品集をめくると、ジェット機やスペースシャトルを模した外観に始まり、コーヒーカップや馬車、ラスベガスを思わせる巨大ルーレットが配置された部屋など、どれもぶっ飛んだものばかり。会話の最中にもこれでもかとばかり、「セックス」という言葉がしきりと盛り込まれる(ラブホテル仕掛け人であるから当然ではあるのだが)。
「私はラブホテルっていうのは若さが必要だと思ってます。でも私が言う若さというのは年がいったから無くなるものではなく、60になっても若い人、20歳でもジジ臭い奴というのはいます。だからやっぱり探究心ですよね。いかに探究心があって、夢があってナンボ、夢を買ってもらってナンボの世界ですから」

 作品集には昭和年代のホテルと部屋も含まれているが、ぶっ飛んだデザインだけに時代を超越し古さを感じさせない。旧式のテレビなどを見て、「あぁこれは昭和の」と気づかされることもあったほどだ。なんだかテーマパークのカタログでも見ているような楽しい気分になってくる。

 「ラブホテルは何かと言ったら知恵の勝負なんです。そこにはテーマ性、動き、仕掛けがないとダメです。それと一番大事なのは“淫靡さ”、これですね(笑)。ラブホテルというのは綺麗なだけじゃダメなんです。豪華なだけじゃダメ。何が必要かというと、セックスのための淫靡さがあるから来るんです。やっぱり一番大事なもの、原点は“淫靡”にあると私は思います」とキッパリ断言。

 「私が得意として作ってきたオール鏡の部屋、天井も床も全部鏡。あれなんかいやらしいと言いながらみんな来ますから(笑)。あれは中毒しますよ(笑)」。 “ラブホテルはセックスのための晴れ舞台、ステージである”というのが亜美伊氏のモットーである。

 「ラブホテルへ行こうとすればワクワクドキドキする。それは子どもたちが明日ディズニーランドに行くとか、遠足に行くっていう気持ちと一緒だと思うんです。だからそういう気持ちにさせるものがないとダメです。コミック・マンガ調の部屋は、みなさん子どもっぽいとかシンプルな部屋の方がいいと最初は言うんですが、実際はそういう部屋の方が売れるしファンができます」。

 大の阪神ファンであることから阪神が優勝すれば通称トラキチ部屋を、あるいは三浦和義・疑惑の銃弾部屋など、世相を巧みに取り入れた部屋を作るのも得意技の1つ。

 「しょーもないと言われるかもしれないけど、そのしょーもないことをお客さんはものすごく喜ぶし、私らもバカバカしいことを真剣に考えていたんです(笑)」。

 ワクワクさせる、胸躍らせるものがあるからこそ人は対価を支払いラブホテルに足を運ぶ。だが、今はそうしたものがなくなってしまったと、亜美伊氏はラブホテル業界の現状を語る。

 「私がやってきた中で、この何年かは一番ダメな時です。いっぺん成熟し切ったから、下まで落ちてまた上がってこないといかん。そういう時期です。今はワンルームでもアパートでも綺麗だし、別に金を払ってラブホテルに行く必要はありません。そこに問題があるんです。部屋と代わり映えがしないんじゃ面白くない。やれ草食人間だからと言いますけど、彼らに面白いものを提供していない側が悪いんです。そういうものがあったら興味を持つはずです」。

 かつては1部屋(12~13坪)に平均3000万円ほどを掛け、最高で8000万円、1泊30万円する部屋もあったという。

 「当時と今とでは売り上げも全く違うんです。昔は1ヵ月で1部屋100万売って普通でしたけど、今は大体40万ぐらい。よく売った部屋なら180万ぐらい売りました。今は料金も安いですが、私から言わせれば安いというのはお客さんからお金をもらえるだけのものを作っていないという考えです。やっぱりお金をもらうなら、もらえるだけのものを作らないとお客さんは来ません。納得してもらわないといけないし、これは食事と一緒です」。 利用者目線に立って様々なサービスも提供、生み出してきた。部屋の写真が掲示された無人受け付け機や、いまやゴルフ場などでも見られるようになった自動清算機など、ラブホテル発で使われるようになった装置や機械は少なくない。さらに大型テレビやウォシュレットなど、最新家電をいち早く取り入れてきたのもラブホテルである。

 「最初はごっつ高いじゃないですか。でもラブホテルは儲かるからそういうのを入れられる訳です。家庭にはそんな高いものは入れられません。それだけ利用者が多いんです。だから本当に先に先にって取り入れてきました。だから、なかなかお目に掛かれないものが先に入るという面はあったと思います。売る側にしても、あれだけたくさんいっぺんに使ってくれるところはないでしょうから」。

 大型テレビもウォシュレットも、やがて家庭で一般的なものとなったが、その導入はどこよりもラブホテルが早かった。一般家庭の近未来スタイルをいち早く実現してきたのが、ラブホテルと言えるのかもしれない。

 「ドアを開けたら床の色も壁の色もほとんど一緒。ただ部屋が大きいか小さいかの違いで、夢も何もない。それじゃダメなんですよ。ラブホテルがラブホテルでなくなってきている。ラブホテルは夢を売ってナンボだし、セックスのためのステージです。セックスっていうのは語ること自体がタブーとされてきましたけど、そうではなく、一番大事で一番美しいものだと私は思うんです。それをアピールしてあげないと」。

 何より自分自身が楽しみ、いろんなことにワクワクする。 今もエネルギーを発してやまない亜美伊氏に接し、“エロは地球を救う”と改めて思わされた。(取材・文・写真:しべ超二)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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