さすが“元”なだけにやる気になれば凄みは本物ですが、ちょっと抜けていて憎めない彼ら。観客は癒されたり、笑わされたり、“おじいちゃん力”を感じること間違いなしです。
彼らのような人が本当に活躍してくれたら、これからの高齢化社会も悲観的にならずにすみそうですが、実際の世界でも、おじいちゃん力を開花させている人がいます。
それは「イクジイ」と呼ばれる人々。イクメンに対して、孫育て、地域の活性化に貢献する中高年男性を指す言葉として、NPO法人「ファザーリング・ジャパン」が考えた造語ですが、同団体内で「イクジイプロジェクト」のリーダーを務める村上誠さんは、「おじいちゃん、おばあちゃんだからこそ伝えられるものがある」といいます。
村上さんによれば、伝統的な遊びや“もったいない”の精神を教えるだけでなく、シニアたちが子どもを甘やかすことにも意味があるそう。なぜなら、子どもの“かわいがってもらえる能力”を育むことにつながるから。親世代としか接していない子どもに比べて、より広い人間関係の中で育つことになり、本人たちのコミュニケーション力も向上するというわけです。
映画の主人公である、藤竜也演じる龍三は、息子夫婦に疎まれています。ヤクザの子どもとしてつらい目にあった過去があり、現在の世間体を気にしているから。けれど、近所の子どもたちが龍三を見にやってきたり、孫との絆をひそかにつくっていたり、孫世代とおじいちゃん世代の相性が抜群なことを暗に示しているシーンもあります。
「こどもの日」に見るのにおすすめの一本。“おじいちゃん力”の意外なパワーを感じてみてはいかがでしょうか。
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(C)2015「龍三と七人の子分たち」製作委員会