2016年8月27日。メジャーデビュー10周年を迎えたいきものがかりのコンサートに、明石家さんまが登場したとして話題になりました。

何でさんまが?と思った人も多いかと思いますが、何でも、『痛快!明石家電視台』にゲストでいきものがかりが出演した際に、メンバーの山下穂尊がダメもとでお願いしたところ「おぉ!ええよ!ええよ!」と快諾を得て、実現したのだとか。

おそらく、さんまは義理堅い男なのでしょう。彼ぐらいの立場になれば、人気取りのために仕事をしなくても良い立場のはず。にも関わらず、後輩ミュージシャンからサプライズゲストを頼まれれば気前よく駆けつけるあたりはさすがです。

明石家さんまが長らく続けるラジオ番組『ヤングタウン』


そんなさんまの「義理堅さ」を象徴するエピソードを一つ紹介します。それは、来年で放送50周年を迎える大阪・MBSラジオの名物番組『ヤングタウン』にまつわるお話。
現在同番組は、毎週土曜・日曜の夜22:00~23:30にO.Aされており、土曜日のメインパーソナリティーを務めるのが、さんまです。
このお笑い怪獣の番組における話し相手、つまり、アシスタント的役回りを担うのが、30年来の大親友・村上ショージと、「ヤン娘。(ヤンムス)」と称されるハロー!プロジェクト所属のアイドルになります。

現在はモーニング娘。'16の飯窪春菜と工藤遥が就いているヤン娘。のポジションですが、過去をさかのぼると、安倍なつみ、松浦亜弥、高橋愛なども担当していました。
何でも、ハロプロの運営元であるアップフロントプロモーションが、その時々で推したいタレントを起用するのが、古くからの慣わしとなっているらしく、古くは、加藤紀子(1992年10月 - 1997年2月)も、さんまとの掛け合いを披露していたようです。


ハロプロアイドルの近況報告 しっかり聴いてあげるさんま


はっきり言ってこの番組、1時間半通しで聴くと分かるのですが、さんまにとってのうま味はほぼゼロです。オープニングトークとコーナーの1部を除いて、展開されるのはほとんど、ハロプロアイドルの話。最近、「写真集出して~」とか、「コンサートでこんなことがあって~」とか。
正直、ハロプロファン以外にとっては全く興味が沸かないであろうトピックスを、60歳を超えるさんまが「おぉ!ほいで!」と聞き役に回っている姿は、何だかすごくシュールです。

何故、このような番組を、天下の明石家さんまがやっているのかというと、MBSラジオと彼、そして現・アップフロントの会長・山崎直樹氏の間に古くからのご縁があるからです。

駆け落ちして番組をすっぽかした明石家さんま、MBSラジオは見捨てず


さんまは19歳の時、当時付き合っていた彼女と東京へ駆け落ちしたことがあります。その際、MBSラジオの番組に穴を開けてしまったのですが、それでも、彼を使い続けた同局には大きな借りがあるのです。

また、古くからヤンタンと深いつながりにあり、数多くのタレントを同番組のラジオパーソナリティーとして送り出していたのが、ヤングジャパングループ(アップフロントグループの親会社)であり、山崎氏だったのです。

90年代の終わりごろに、ヤンタンは完全廃止(それまでは月~日で放送していた)する予定だったのですが、「ヤンタンの火を消したらあかん」としてさんまは、既に番組を卒業していた鶴瓶と共にMBSラジオへ存続を直訴。その時、自らスポンサーを買って出たのが、この山崎氏だったといいます。
山崎氏とさんまも、モー娘。高橋愛の卒業コンサートを揃って観覧している姿がテレビで放送されたことから、知己の関係であることは明らか。自分を見捨てなかったMBSラジオ、その象徴とも言うべき番組に古くから尽力しているアップフロント会長。
双方への恩を返すために、さんまは今週の土曜、その次の土曜もアイドルとしゃべり続けるのです。
(こじへい)