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【書評】作者から投げつけられた爆弾『或るろくでなしの死』 - 研究員レポート

2011年12月26日 06時00分 (2012年1月1日 05時06分 更新)
 センターではなくボーダー。
 舞台の中心でスポットライトを常に浴び続けたがる者がいる。
 対照的に、舞台のへりに腰掛けて動きたがらない者もいる。へりにいるのは照れ屋だからなのかと思うとそうでもない。何かあったら客席に爆弾を投げつけてやろうと、こちらの隙をうかがっているのである。周縁にいたがるのは、その場所がもっとも観客の心臓に近い位置だからだ。
 そんなわけで平山夢明が投げつけてきた爆弾を、読者は無防備に受け止めることになった。『或るろくでなしの死』。平山夢明が2年ぶりに放つ小説である。

  或るろくでなしの死

  平山夢明

  角川書店

  1,575円

 私はこの作者を、平山夢明としてではなくデルモンテ平山として知った。デルモンテ平山は、誰も観ないようなZ級のホラー映画を観てレビューを書いていたライターだ。それらの文章を読んでもまったく映画を観る気にはなれない。まるで引導を渡すようなレビューだった。デルモンテ平山としての文章はあちこちに残っていると思うが、気になる人は現在「週刊SPA!」に連載されているコラムを読むといい。一部が本にまとめられていて『どうかと思うが、面白い』というのが題名である。倒れている亡者の頭を蹴っ飛ばすような文章で、異常に乾いている。
 気がついたときにはデルモンテ平山は平山夢明としての活動もしていた。『東京怪談』などの実話怪談集を読んだときは非常に怖かった。怪談という呼び名からは考えられないくらい暴力的で、土足で心に踏み込まれるような雰囲気があったからだ。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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