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誰が「J-POP」を殺したのか?

2013年3月6日 18時00分 (2013年3月14日 17時22分 更新)
もう一つが「演奏使用料」、テレビやラジオ、有線、カラオケ、実演などによる二次使用料だ。JASRACが鋭意、徴収しているのはこの二次使用料なのだが、ヒット曲の場合、CD印税の4~10倍になるという、いわば“ドル箱”なのだ。
 つまり、音楽出版社や作詞家、作曲家たちは、JASRACがなければ、活動の存続が難しくなる恐れがあるといえるだろう。

 しかし、こうした側面の一方で、JASRACは「天下り先」という事実があることも麻生氏は指摘する。バックは半分、親方の日の丸(文化庁管轄)で、音楽が使用され続ける限り、未来永劫、食いっぱぐれることはないシステムに庇護されるのだ。
 本書では、月報の理事の欄に10名あまりの元官僚たちが並んでいたことに、ワカマツはひっくり返りそうになる。JASRACの一般職員やGメンたちが汗水たらし、批判を浴びながら働いていることを知っているワカマツにとって、憤慨すべき出来事だったのだ。

 また、そうした中で、草の根から著作権への抵抗を見せるムーブメントも出てきた。その最先端が「初音ミク」、いわゆるボーカロイド(ボカロ)だ。
 初音ミクを歌手に据えた創作の連鎖はネット上で爆発的に広がり、自分の作品を次々と発信していく。そこにあるのは、著作権フリーの思想だと麻生氏は述べる。そして、ボカロこそが、次代のJ−POPのインキュベーターになるという。

 今回紹介した著作権団体や著作権は本書で言及されているケースの一つに過ぎず、「ソニー」「韓流」「つんく」「歌番組」「圧縮技術」「スマホ」「世界の不況」など、さまざまな部分からJ−POPの衰退と、新しいJ−POPの形について思考する。
 時代が大きく動き、それに伴って大衆文化もダイナミックに変わるなかで、旧時代の構造のまま立ち向かっていっても、維持することは難しいことは誰もが分かっていることのはず。音楽業界に対する麻生氏の提言は刺激的だが、理に適っているといえるのではないだろうか。
(新刊JP編集部)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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