スウェーデンのカロリンスカ研究所によると、週に2、3回チョコレートを食べる人は、まったく食べない人に比べ、心疾患で死亡するリスクを約3分の1に軽減できるという。また、心臓発作による死亡はチョコレート消費量に反比例していることもわかった。
「カカオに含まれる抗酸化物質が心疾患、がん、老化などに効果があるのではないか」(研究チーム)
確実な記録のあるなかで人類史上最も長生きしたとされるフランス人女性、ジャンヌ・カルマンさんも122歳で亡くなるまでチョコレートを食べ続けていたことで知られる。量は1週間に900グラム、板チョコなら15枚ほどで、まさに「チョコレート長生き説」を体現していた存在だ。
このように、健康と食べ物は密接な関係にある。たとえば、日本人にとってもっともポピュラーな飲み物・緑茶。東北大学の研究チームは、日頃から緑茶をたくさん飲んでいる人は、そうでない人よりも死亡率が低いという研究結果を発表している。
宮城県内の4万530人を対象に行なわれた調査によると、一日に5杯以上緑茶を飲む人の死亡率は、1杯未満の人に比べて16%(男12%、女23%)ほど低かった。
一方、健康によくないイメージのあるお酒だが、適度な量なら長生きにつながるという研究もある。
米国テキサス大学の研究チームが病院にかかったことのある55~65歳の男女1824人を対象に20年間の追跡調査を行なったところ、「まったくお酒を飲まない人」の死亡率は69%で、「適量を飲む人」(41%)だけでなく、「大酒飲み」(60%)をも上回っていることがわかった。
つまり、下戸は早死にで、適度にお酒を飲む人がもっとも長生きするということ。「アルコールにはHDL(善玉)コレステロールのレベルを上げ、LDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあって、心臓疾患を予防する効果がある」と研究チームは報告している。
飲み過ぎだけでなく、食べ過ぎも健康にはよくない。「腹八分目」という言葉もあるが、実は八分目でも食べすぎだった?
英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちが、ラットを使って食事の量と寿命の関係を検証。それによると、食事の量を40%減らしたラットは、減らさなかったラットよりも20~30%長く生きることが判明したのである。
「この結果はすべての生命体に当てはまる。ラットが長生きした結果を人間の寿命に当てはめると約20年に相当する」(研究チーム)
食事の量を減らすことにより、心臓や血管の病気、がん、アルツハイマー病のリスクも減るという。
(取材・文/宮崎俊哉、中島大輔、渋谷 淳、山田美恵)