強姦(レイプ)は、卑劣な犯罪の代表ですが、実は、この犯罪の成立はかなり微妙です。
なぜかと言うと、相手の意に反して反抗を著しく困難にする暴行・脅迫がなければ、通常営まれる性交と見なされるため、犯罪にはなりません。
更に、公衆の面前で行われることはほとんどなく加害者と被害者の二人の空間で行われるのが一般だからです。

●夫婦やカップル間に強姦はあり得るのか
たとえ夫婦であっても、合理的に性生活を営むことが義務ではあるものの、女性の意思に反して性交を暴行・脅迫をもって強制することは女性の性的自由を著しく侵害するものとして強姦の成立は問題ないでしょう。
そうすると、単なる交際期間中であれば、なおさら女性の性的自由を侵害する行為として許されるものではありません。婚前交渉をしないと強い戒めを持っている女性は世の中にたくさんいるのですから…

●強姦されたと訴えるケースは沢山ある
さて、本題の交際していた男性から振られた腹いせに強姦されたと訴える事例でずか、多々あります。
男性の場合の逆恨みは、ストーカーのような行為をとることが多いのですが、虚偽のレイプを告訴して報復するタイプの女性は、逆恨みを晴らす術が他に思いつかないからのようです。
このような場合、親告罪として捜査機関は、告訴を受理する場合もありますが、事情を聴いて持ち帰らせる場合が多いようです。

中には、告訴取り下げを条件に多額の慰謝料を請求する場合もあり、捜査機関としては民事問題にすり替え民事不介入として門前払いとする例もあるようです。
しかし、告訴が受理されると操作が本格的に始まりますが、先に述べたように、立証がかなり難しい、何しろ交際期間中のことなのでいきなり強姦したというような事例とは全く異なるからです。
ですので、嫌疑不十分として処理されてしまうことが多いと聞きます。
このような振られた腹いせの報復に対しては、男性サイドも虚偽告訴罪で逆に告訴する反撃方法もあります。
このように男女の問題ですから、いずれにせよ泥沼化するのは必至ですから、交際するなら真摯におつきあいし、別れるなら誠意をもって話し合いをすることをお勧めいたします。それより付き合う前にそのようなことをしそうな女性かどうか見極め、軽はずみな交際は後々厄介なことになるかもしれませんよ。


*著者:弁護士 小西一郎(聖マグダラ法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。)