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【書評】手紙や証言を吟味、着実な手続きで龍馬の志に推参

2017年2月17日 07時00分 (2017年2月17日 07時33分 更新)

【書評】『龍馬の「八策」 維新の核心を解き明かす』/松浦光修・著/PHP新書/960円+税

【評者】平山周吉(雑文家)

 司馬遼太郎『竜馬がゆく』、NHK大河ドラマ『龍馬伝』などで創られた坂本龍馬像は、「戦争嫌いの平和主義者」「人間はいいけど学問がない」といったものだ。そうした龍馬像は戦後日本の規格に合わせて脱色されたものだとして、龍馬の「ものの考え方」から実像に迫ったのが本書である。

 著者は伊勢にある皇學館大学教授で、日本思想史の専門家である。吉田松陰西郷隆盛といった幕末の「志士」、勝海舟横井小楠といった「開明派」からの影響を確認しながら、龍馬の行動力と構想力が明らかにされる。

 龍馬の手紙や同時代の証言など、重要史料を巧みな現代語訳で紹介し、証拠をひとつひとつ吟味していく(巻末には五十八にも及ぶ重要史料の原文も掲載し、本格的である)。着実な手続きで、龍馬の「志」に推参しようとする。

 坂本家は代々学問好きの家であった。坂本家の家学は「国学(皇学)」だったので、江戸時代の武士の教養である漢学よりも、和歌や和文に通じていた。龍馬の手紙の生き生きとした描写や型破りな観察の拠って来たる所以は、そうした「ひらがな」の学問であった。

 おりょうとの新婚旅行を姉の乙女に報告した有名な手紙で、由緒ありげな「天狗の面のついた天の逆鉾」を龍馬は馬鹿にした。学者は「倫理や道徳に縛られない」近代的龍馬をそこに見るのだが、大間違いと著者は指摘する。

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